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時間幅(清算幅)とは?発注側が知っておきたい時間幅の仕組みや設定例、計算方法も解説

外部への業務委託の際、「時間幅(精算幅)」という概念を用いる場合は多いでしょう。発注側は、時間幅とはどのようなものなのか、正確に理解する必要があります。本記事では、時間幅とはどのようなものなのか、具体的な設定例も含めて詳しく解説します。報酬の具体的な計算方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

目次[非表示]

  1. 1.時間幅(精算幅)とは?
    1. 1.1.時間幅(精算幅)に収まらない場合
  2. 2.時間幅(精算幅)の設定例
  3. 3.時間幅(精算幅)を設ける理由
  4. 4.超過単価または控除単価の計算方法
    1. 4.1.上下割で決める方法
    2. 4.2.真中割(中央割)で決める方法
  5. 5.報酬を日割りで支払う場合の計算方法
  6. 6.時間幅(精算幅)を設けないことも可能
  7. 7.業務委託契約の締結時に明確化しておきたいポイント
    1. 7.1.契約の種類
    2. 7.2.精算方法・支払い方法
    3. 7.3.業務遂行にかかる費用の負担者
    4. 7.4.業務内容・成果物
  8. 8.まとめ

時間幅(精算幅)とは?

時間幅(精算幅)とは、業務委託の報酬の支払いにおいて考慮すべき契約時間の幅のことです。
たとえば、時間幅を月150時間~180時間に設定した場合、1か月の労働時間がこの範囲内に収まっていれば契約金額を満額支給します。

時間幅(精算幅)に収まらない場合

労働時間が時間幅を超過した場合は、その分の報酬を追加で支払います。反対に、少ない時間で終わった場合は、その分の賃金を控除した金額を支給しましょう。

時間幅(精算幅)の設定例

時間幅(精算幅)は、基本的には月単位で設定します。一般的には「140時間〜180時間」が多いとされていますが、適切な時間幅は案件により異なります。

時間幅は、1日あたりの稼働時間と、1週間あたりの稼働日数を考慮して設定することが大切です。
たとえば、1日あたりの稼働時間の幅を6時間~8時間とした場合、次のように時間幅を設定します。

1週間あたりの稼働日数

1か月あたりの稼働時間

時間幅

3日

6時間~8時間×12日

72時間~96時間

4日

6時間~8時間×16日

96時間~128時間

5日

6時間~8時間×20日

120時間~160時間

時間幅(精算幅)を設ける理由

もし時間幅を設定せずに月額報酬単価を固定すると、営業日数が少ない月も多い月も報酬が同額になります。長期休みがある月でも通常どおりの報酬を支払う必要があるため、発注側にとっては損失につながりやすいでしょう。

また、受注側としては稼働時間や日数が多い月も報酬が変わらないため、不満を感じやすく、モチベーションの低下につながる恐れがあります。

]時間幅を設定すれば、あらかじめ定めた労働時間を基準として、適切な報酬を支給可能です。不要なコストがかかるリスクを減らせるため、多くの企業が時間幅の設定を採用しています。

超過単価または控除単価の計算方法

稼働時間が時間幅に収まらなかった分については、賃金を上乗せまたは控除して支給します。

実際の労働時間が時間幅を上回った場合は「超過単価×上回った分の時間」という式にあてはめて計算します。反対に、下回った場合は「控除単価×下回った分の時間」です。

また、超過単価と控除単価の決め方には、「上下割」と「中割」という2種類の方法があります。

上下割で決める方法

時間幅の上限と下限を使用して、超過単価と控除単価を決定する方法です。超過単価は「月額単価÷上限時間」、控除単価は「月額単価÷下限時間」の式で計算します。

たとえば、月額単価が960,000円で時間幅が120時間~160時間の場合を考えてみましょう。

  • 超過単価:960,000円÷160時間=6,000円
  • 控除単価:960,000円÷120時間=8,000円

仮に1か月の実労働時間が162時間だったとすると、超過分の報酬は(162時間-160時間)×6,000円=12,000円となります。また、実労働時間が114時間だった場合、控除分の報酬は(120時間-114時間)×8,000円=48,000円です。

真中割(中央割)で決める方法

時間幅の中央値を使用して、超過単価と控除単価を決定する方法です。両方の単価計算に同じ値(中央値)を使用するため、この場合は超過単価も控除単価も同額となります。

たとえば、時間幅が120時間~160時間の場合、中央値は140時間です。月額単価が960,000円の場合、超過単価と控除単価は6,857円(小数点以下切り捨て)となります。

1か月の実労働時間が162時間だったとすると、超過分の報酬は(162時間-160時間)×6,857円=13,714円です。また、実労働時間が114時間だった場合、控除分の報酬は(120時間-114時間)×6,857円=41,142円です。

報酬を日割りで支払う場合の計算方法

月の途中から参画したITエンジニアに対しては、初月の報酬は日割りで支払う場合も多いでしょう。

時間幅を設けている場合、日割りした金額は「稼働日数÷営業日数×月額単価」で求めます。たとえば、月額単価が960,000円で月の稼働日数が20日、実際の稼働日数が5日だった場合を考えてみましょう。

日割りの報酬は、次のとおり計算します。

960,000円×(5日÷20日)=240,000円

また、時間幅についても、上限と下限を日割りで計算しましょう。もともとの時間幅が120時間~160時間だとすると、日割りの時間幅は次のとおりです。

下限:120時間×(5日÷20日)=30時間
上限:160時間×(5日÷20日)=40時間

時間幅(精算幅)を設けないことも可能

時間幅の設定は必須ではなく、企業によっては月額固定で報酬を支払う場合もあるでしょう。

固定報酬制では、その月の稼働時間に関係なく、あらかじめ設定した金額の報酬を支払います。そのため、想定より稼働時間が多くても少なくても、月の単価は変動しません。月ごとの業務量に変動が少ない場合や、長期プロジェクトに向いている方法です。

ただし、時間幅を設定しない場合は、営業日が少ない月も固定の報酬を支払う必要があります。想定されている労働時間が実態とかけ離れていると、委託先とのトラブルにつながりかねないため注意が必要です。

業務委託契約の締結時に明確化しておきたいポイント

業務委託契約を結ぶ際には、時間幅を含めた報酬の支払いはもちろん、さまざまなポイントを明確にする必要があります。

委託先とのトラブルを防ぐために、以下のような点は事前に明らかにしておきましょう。

  • 契約の種類
  • 清算方法・支払い方法
  • 業務遂行にかかる費用の負担者
  • 業務内容・成果物

契約の種類

業務委託契約は、主に「請負契約」「委任契約」「準委任契約」の3種類に分けられます。混同されがちな「派遣契約」もあわせて、それぞれの違いをしっかり把握しておきましょう。

請負契約

完成した成果物に対して報酬を支払う契約形態。

委任契約

成果物ではなく、業務の遂行に対して報酬を支払う契約形態。弁護士や行政書士などに法律行為を依頼する場合に締結する。

準委任契約

委任契約同様、成果物の完成義務はない。法律行為以外の事務が該当する。

派遣契約

人材派遣会社から、自社の要望に合わせた人材を派遣してもらう際に締結する契約。業務委託契約とは異なり、自社に指揮命令管がある。

なお、ITエンジニアのSES契約は、基本的に準委任契約に準じた内容となります。

精算方法・支払い方法

委託先とのトラブルを避けるためには、精算方法の明確化が大切です。
月額固定なのか、時間幅を使うのかを定めておき、時間幅を使う場合は、上下割と真中割のどちらで超過・控除単価を計算するのかといったポイントを明確にして、合意をとるようにしましょう。
ほかには、精算時間の単位や計算時の切り捨ての基準、支払い方法や期日なども明確にする必要があります。

業務遂行にかかる費用の負担者

業務遂行にかかる費用の負担者については、契約の種類によって扱いが異なります。たとえば、請負契約の場合は受託者負担、委託契約の場合は委託者負担が原則です。後に揉めることのないよう、契約書にしっかり明記しておきましょう。

業務内容・成果物

業務内容を明確化しておけば、稼働後に想定外の追加費用が発生するリスクを低減できます。また、成果物と納品の期限を明確にすることも重要です。

まとめ

時間幅は、業務委託において設定する「労働時間の幅」のことです。多くは1か月あたり140時間~180時間といった時間幅を設定し、実労働時間がこの範囲に収まっている場合は報酬を満額支給します。時間幅の設定は必須ではないものの、稼働日数が少ない月にも適正な報酬を支払えるというメリットがあります。基本的な仕組みや計算方法を把握し、委託先との取引を円滑に進めましょう。

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