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「オフショア開発白書」からわかる国内動向や人気の委託先、予算について解説

初めてオフショア開発を導入する際には、「他の企業はどのような開発を依頼しているのだろう?」「どの国に委託する企業が多いのだろう?」など、さまざまな疑問や悩みがつきものです。そのようなときに役立つ資料が、「オフショア開発白書」です。本記事では、オフショア開発白書の内容をもとに、オフショア開発の最新動向を解説します。

目次[非表示]

  1. 1.「オフショア開発白書」の概要
    1. 1.1.そもそもオフショア開発とは?
    2. 1.2.オフショア開発白書とは?
  2. 2.「オフショア開発白書」で分かる国内の最新動向
    1. 2.1.企業規模:従業員100名以下の企業の割合が減少
    2. 2.2.業種:IT企業が過半数を占める
    3. 2.3.属性:エンドユーザーの比率が大きい
    4. 2.4.依頼内容:サービス系のWebシステム開発が約3割
    5. 2.5.契約形態:ラボ契約が約6割
  3. 3.オフショア先としての人気の国ランキング
    1. 3.1.1位:ベトナム
    2. 3.2.2位:フィリピン
    3. 3.3.3位:インド
    4. 3.4.4位:バングラデシュ
    5. 3.5.5位:中国・ミャンマー
  4. 4.オフショア開発にかかる予算
  5. 5.オフショア先を選ぶ際のチェックポイント
    1. 5.1.国による違い
    2. 5.2.得意領域・開発実績
    3. 5.3.スキル・社内体制
  6. 6.オフショア開発を活用する際の注意点
    1. 6.1.「言わなくてもわかるだろう」は通用しない
    2. 6.2.要件仕様を明確化する
  7. 7.まとめ

「オフショア開発白書」の概要

まずは、オフショア開発白書の概要から解説します。

そもそもオフショア開発とは?

オフショア開発とは、海外の企業や現地法人などに開発業務をアウトソースすることです。なお、広義のオフショア開発には、開発業務だけでなく、インフラの構築や保守運用業務なども含まれます。

オフショア開発を採用する主な目的は、コスト削減や開発リソースの確保です。同じような目的で行われる「ニアショア開発」という開発スタイルもありますが、こちらは国内の別の地域に開発を依頼することを指します。

オフショア開発白書とは?

オフショア開発白書は、「オフショア開発.com」が毎年作成している資料です。オフショア開発.comに寄せられた相談や、現地でオフショア開発をしている企業へのアンケート結果をまとめ、オフショア開発の最新動向を紹介しています。

たとえば、以下のような内容が掲載されています。

  • オフショア開発を依頼する企業の規模・業種・属性
  • オフショア開発委託先国別ランキング
  • 海外への依頼案件の平均予算規模・依頼単価
  • 国内と比較した場合のオフショア開発におけるコストダウン比率

※引用:オフショア開発白書(2023年版)|オフショア開発.com

「オフショア開発白書」で分かる国内の最新動向

ここからは、「オフショア開発白書(2023年版)」の内容から、オフショア開発の最新動向を紹介します。

※参照:オフショア開発白書(2023年版)|オフショア開発.com

企業規模:従業員100名以下の企業の割合が減少

オフショア開発白書(2023年版)によると、2022年にオフショア開発について相談した企業の規模別割合は、以下のとおりです。

企業規模

割合

10名以下

38%

11~50名

16%

51~100名

8%

101~500名

13%

501~1000名

5%

1001~5000名

7%

5001名以上

14%

2021年度の数値と比べると、100名以下の企業の割合は減少している一方、5001名以上の企業の割合は増加しています。こうした背景には、オフショア開発における人件費の高騰や円安が背景にあると考えられます。

業種:IT企業が過半数を占める

業種別割合については、IT業が66%とダントツです。前年と比較しても13%増加しており、IT業界でオフショア開発を検討する企業が増えていることが分かります。その他にも、メーカーやサービス業などにおいても、オフショア開発の活用が浸透しつつあります。

属性:エンドユーザーの比率が大きい

オフショア開発について相談した企業の属性は、エンドユーザーが67%、ベンダーが33%です。

ベンダーとは、顧客の要望に応じてITサービスを提供する企業のことで、エンドユーザーとは自社サービスやプロダクトの開発にオフショア開発を導入しようとしている企業を指します。比率としてはエンドユーザーの方が優勢ですが、ベンダーの割合が増加傾向です。

依頼内容:サービス系のWebシステム開発が約3割

オフショア開発の依頼内容は多岐に渡りますが、サービス系のWebシステムの開発が全体の約3割を占めます。次いで、スマートフォン向けのアプリケーション開発、業務系のWebシステム開発の順に多いという結果です。

契約形態:ラボ契約が約6割

契約形態はラボ契約が63%、請負契約が37%で、ラボ契約の方が多くなっています。

ラボ契約とは、一定期間、自社専門の開発チームを編成してもらう契約形態のことです。一方、請負契約では、依頼するシステムごとに契約を結びます。

もともとは請負契約を結んでからラボ契約に移行するケースが多かったため、請負契約の割合がいまよりも高めでした。しかし、近年はオフショア開発を継続的に活用する企業が多くなったことで、ラボ契約の件数が増えています。

オフショア先としての人気の国ランキング

ここからは、「オフショア開発白書(2023年版)」の内容から、オフショア先として人気の国をランキング形式で紹介します。

※参照:オフショア開発白書(2023年版)|オフショア開発.com

1位:ベトナム

ベトナムは親日国の1つで、日本語も通じやすい傾向があります。勤勉で真面目な性格の人が多く、日本人との相性のよさが魅力です。また、IT教育が盛んで、優秀な人材が増えています。日本と比べて人件費は安いものの、ハイスキルな人材の給与水準は高まっています。

2位:フィリピン

フィリピンには日本語話者の人は少ないものの、英語は通じることが多いので、比較的コミュニケーションが取りやすいでしょう。また、フィリピンは日本との時差が少ないため、プロジェクトの進行で時差に配慮する必要性がほとんどなく、開発を進めやすい点がポイントです。

3位:インド

インドは、高い技術力を持つ人材が多いとされています。フィリピン同様、英語を話せる人が多いので、コミュニケーションも比較的取りやすいでしょう。ただし、人件費が高騰しており、日本との時差も3時間以上あるため、注意が必要です。

4位:バングラデシュ

バングラデシュもベトナム同様、親日国の1つで、日本人に対して友好的です。教育も充実しており、IT技術や英語力に長けた人材が多いとされています。需要拡大により人件費は上昇傾向にありますが、オフショア先として選ばれる国のなかでも特に給与水準が低く、国内と比べるとコストメリットはまだまだ高いといえるでしょう。

5位:中国・ミャンマー

中国はハイスキルな人材が多いですが、日本よりも人件費が高額になる場合も少なくありません。ミャンマーも優秀な人材が多くいますが、社会情勢が不安定な状況が続いています。こうした背景から、この2国への委託は縮小傾向にあります。

オフショア開発にかかる予算

ラボ型開発では、「予算101万円~200万円」と「予算201万円~300万円」の割合が拡大しています。

予算101万円~200万円は、比較的スモールスタートの案件です。一方、予算201万円~300万円の案件は、マネジメントの難易度が上がるとされる5名以上の開発チームが予想されます。

以上から、予算201万円~300万円の案件が増加している件については、オフショア開発を導入してきた企業がさらに活用を拡大していると考察できます。

※参照:オフショア開発白書(2023年版)|オフショア開発.com

オフショア先を選ぶ際のチェックポイント

オフショア開発の委託先を選ぶ際は、次の3つのポイントをチェックするとよいでしょう。

  • 国による違い
  • 得意領域・開発実績
  • スキル・社内体制

それぞれ、以下で詳しく解説します。

国による違い

委託先を選ぶ際は、まずはオフショア開発の拠点から決定しましょう。

前述のランキングも参考に、国ごとの特徴を比較することが大切です。具体的には、以下のようなポイントをチェックするとよいでしょう。

  • 時差
  • 人件費の相場
  • 文化
  • 言語
  • 祝日 など

得意領域・開発実績

オフショア企業を選ぶ際は、その会社の得意領域や開発実績を確認することも重要です。Webサイト制作やAI、ITインフラ構築など、企業によって得意分野は異なります。自社の開発案件やニーズに合わせて選択しましょう。

また、依頼予定の内容に類似する開発実績があるか、開発の規模や期間、アサイン人数なども含めてチェックします。その他、プロジェクトでトラブルが発生したときの対応についても確認しましょう。

スキル・社内体制

所属するエンジニアのスキルセットやレベルも確認しておきましょう。自社に適した人材がいない場合は、委託先との橋渡し役を担うブリッジエンジニアの有無もチェックします。

また、ブリッジエンジニアをはじめ、窓口となる人材の日本語でのコミュニケーション能力も重要です。その他、エンジニアへの教育体制や品質管理体制、プロジェクト推進体制などの社内体制も確認しておくとよいでしょう。

オフショア開発を活用する際の注意点

オフショア開発を成功させるためには、次の2つのポイントに注意することが大切です。

「言わなくてもわかるだろう」は通用しない

オフショア開発では、言葉や文化の違いから、委託先とのコミュニケーションに失敗してしまうケースが多くあります。日本人の感覚での「これくらい言わなくてもわかるだろう」は、現地のエンジニアには通用しない可能性が高いので、具体的かつ明確な指示を出すことが重要です。

また、コミュニケーションの頻度を増やし、認識の齟齬がないかこまめにチェックすることも求められます。もし、現地に日本語が理解できる人材がいたとしても、できるだけ簡単な日本語を使うことを心がけましょう。

要件仕様を明確化する

オフショア開発では、日本国内への発注以上に、要件仕様を明確化することが大切です。国内の開発とは異なり、要件定義の詰めの甘さをその場で改善しづらく、そのまま開発が進んでしまう可能性があります。その結果、納期遅延やコスト増などのトラブルに発展する恐れもあるため、国内開発よりも一層細かく要件仕様を提示するよう注意しましょう。

まとめ

オフショア開発白書は、「オフショア開発.com」が日本におけるオフショア開発の最新動向をまとめた資料です。契約形態や予算、人気の委託先など、オフショア開発を検討中の企業にとって役立つ情報が掲載されています。人件費削減やリソース確保のため国外へのアウトソースを検討しているなら、ぜひ一度チェックしてみましょう。

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