オフショア開発の進め方|失敗する原因と成功するポイントも解説
オフショア開発は、開発業務を海外企業に委託する手法です。近年は、国内のIT人材不足や開発コスト削減の観点から、オフショア開発を導入する企業が着実に増加しています。この記事では、オフショア開発の進め方を解説します。委託先としておすすめできる国の特徴や、開発を成功させるポイントも述べるため、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.オフショア開発とは
- 2.オフショア開発とニアショア開発の違い
- 3.オフショア開発の進め方
- 3.1.目的を明確にする
- 3.2.要件定義をする
- 3.3.開発する国や企業を決める
- 3.4.開発方式を決める
- 3.5.契約内容を確認する
- 3.6.担当者と打ち合わせをする
- 3.7.開発の進捗を管理する
- 3.8.確認と検証をする
- 4.オフショア開発に失敗する原因
- 4.1.成果物の品質が低い
- 4.2.コミュニケーションが不足している
- 4.3.委託先の文化を理解していない
- 5.オフショア開発におすすめの国の特徴
- 6.オフショア開発に成功するポイント
- 6.1.コミュニケーションを促す
- 6.2.プロジェクトの管理を徹底する
- 6.3.企業の実績を確認する
- 7.まとめ
オフショア開発とは
オフショア開発は、IT関連の開発業務を海外企業に委託する手法です。オフショア開発のメリットは、国内開発と比較して大幅なコスト削減が可能な点です。人件費や諸経費が比較的安価な海外企業に開発を委託することで、企業は効率的な開発体制を構築できます。
オフショア開発とニアショア開発の違い
ニアショア開発は、都市部の企業が地方の企業に、IT関連の開発業務を委託する手法です。ニアショア開発では同じ日本国内での開発となるため、時差の影響を受けずスムーズにやり取りできます。対面でのミーティングも、オフショア開発と比べると容易です。文化や商習慣などによる誤解が少ないことからも、円滑な業務の遂行が期待できます。
オフショア開発の進め方
オフショア開発を成功へと導くには、事前準備から委託先選定、開発開始まで段階的なステップが必要です。以下で進め方の詳細を解説します。
目的を明確にする
プロジェクトの目的と達成したい目標を、明確に定めましょう。開発途中で予期せぬ課題が発生した際にも、目的が明確であれば、最適な対応を落ち着いて選択できるためです。海外企業との協業では、日本企業間のような「察する文化」は期待できません。目的を明確にしておけば、委託先への指示出しがスムーズになり、プロジェクトの成功率が高まります。
要件定義をする
要件定義の段階では、開発する機能や仕様について、自社内で詳細を十分に協議したうえで文章にまとめる必要があります。海外企業との協業では、開発イメージにズレが生じやすいため、想定される機能や要件は必ず文章として残しましょう。
開発する国や企業を決める
委託先の選定では、各国や企業が持つ特性を十分に考慮する必要があります。以下のポイントを総合的に評価しましょう。
- 技術的な得意分野と自社プロジェクトとの相性
- 情報セキュリティ体制の充実度
- 日本語でのコミュニケーション能力
- 日本のビジネス慣習への理解度
- トラブル発生時の保証制度の有無
- 価格の適正さ
価格は、複数社からの見積もり取得により判断してください。
開発方式を決める
ウォーターフォール型とアジャイル型、2つの開発方式のいずれかを選定します。ウォーターフォール型は、事前に仕様を綿密に固めてから開発を進める手法です。要件が明確で、途中での変更が少ないプロジェクトには、ウォーターフォール型が適しています。
一方、アジャイル型は、要件定義から開発、テストまでの工程を短いサイクルで繰り返し行う手法です。アジャイル型を選択すると、開発中の仕様変更や機能の追加に柔軟に対応できます。
契約内容を確認する
オフショア開発における契約形態は、主にラボ契約と請負契約の2種類に分けられます。ラボ契約は開発期間を基準とした準委任契約で、委託先企業内に専属の開発チーム(ラボ)を設置します。ラボ契約の強みは、柔軟な開発体制です。
一方、請負契約は成果物の完成を目的とした契約形態です。プロジェクト完了時点でチームは解散するため、明確な要件定義が必要です。契約時には、仕様変更時の対応や追加コストの発生条件、修正要望への対応方針などを詳細に確認しましょう。不利な条件での契約を防ぐためにも、綿密なチェックが必要です。
担当者と打ち合わせをする
担当者との打ち合わせでは、委託内容の理解度、開発体制の状況、必要機材の準備時期、全体スケジュールなど、具体的な確認が必要です。特に重要な点は、仕様書の内容が正確に翻訳され、開発チームに適切に伝達されているかどうかです。コミュニケーションに問題がある状況では、成果物が意図しないものになる可能性があります。
開発の進捗を管理する
開発開始後は、定期的なミーティングを通じて密なコミュニケーションを維持しましょう。開発の方向性が本来の目的から外れていないかを確認し、必要に応じて改善点を明確に伝えてください。進捗状況や納期に関する認識合わせも必要です。国や企業によってスケジュール管理への意識に差があるため、計画的な進捗管理を心がけることがプロジェクトの成功につながります。
確認と検証をする
成果物と仕様書との整合性を検証する際は、委託先の担当者を含めると効率的です。担当者の立ち会いのもとで確認を行えば、不具合を発見した際に速やかに修正指示を出せるためです。自社単独での動作確認後に問題が見つかった場合、海外の開発チームへの報告や指示出しに時間を要します。
オフショア開発に失敗する原因
オフショア開発の失敗でありがちなものを解説します。原因を把握し、対策を講じましょう。
成果物の品質が低い
オフショア開発による成果物の品質について、以下のような問題が多く報告されています。
- 動作不良や予期せぬエラー
- 画面のレイアウト崩れ
- 要件定義で指定した機能の欠落
- 日本語テキストの可読性低下
上記問題は、一概にエンジニアのスキル不足が原因とは限りません。要件の伝達ミスや認識の齟齬により、成果物の品質低下が引き起こされる場合もあります。
コミュニケーションが不足している
コミュニケーション不足も、失敗の原因となります。仕様書の誤訳や解釈の違いにより、想定とは異なる方向に開発が進んでしまうリスクがあります。さらに、国による時差の問題も、スムーズな連携や迅速な意思決定を妨げる原因となりがちです。
委託先の文化を理解していない
オフショア開発では、委託先との文化的な違いへの理解が欠かせません。生活様式や商習慣、ビジネスにおける価値観は国によって大きく異なるためです。当然と考えていた作業プロセスや納期に対する意識も、相手国では異なる解釈をされる可能性があります。思想や習慣に配慮して、委託先を決める必要があります。
オフショア開発におすすめの国の特徴
オフショア開発の主要な委託先として、アジア各国が注目されています。各国の特徴を解説します。
ベトナム
ベトナムは、政府と民間が連携してIT人材の育成に注力してきた国として知られています。優秀なエンジニアが多く、比較的低コストでの開発委託が可能です。勤勉で誠実な国民性に加え、日本に対して好意的な人々が多いことも特徴です。
中国
中国は、豊富な開発実績と多彩な技術力を持つIT大国です。上海、北京、大連などの主要都市には世界トップクラスのエンジニアが集中し、高度なプロジェクトにも対応可能です。ただし、都市部では人件費が比較的高額になる傾向が見られます。コストが懸念される場合は、内陸部や地方都市でのオフショア開発も検討するとよいでしょう。
ミャンマー
ミャンマーは、比較的低コストで開発委託が可能な国として注目されています。日本語での意思疎通が可能なエンジニアが徐々に増えており、コミュニケーション面での懸念も軽減されつつあります。ただし、電力供給などのインフラ面での不安定さは、課題といえるでしょう。プロジェクトの性質や納期を考慮して委託可否を決める必要があります。
フィリピン
フィリピンは、比較的人件費を抑えられる開発委託先です。公用語が英語であるため、コミュニケーションをとりやすい傾向が見られます。親日的な国民性を持ち合わせている人が多いことからも、円滑なプロジェクト運営が期待できます。
インド
インドは、世界的に評価の高いIT教育機関を有し、高度な技術力を持つエンジニアを継続的に輩出しています。英語でのコミュニケーションに長けた技術者が多数存在し、欧米でのオフショア開発実績も豊富です。近年は人件費が上昇傾向にあるものの、欧米や日本と比較すると、高品質な開発を比較的リーズナブルに委託できる環境が整っています。
オフショア開発に成功するポイント
オフショア開発を成功に導くポイントを解説します。密なコミュニケーションや管理体制、企業選びが、プロジェクトの成功を左右します。
コミュニケーションを促す
プロジェクトを成功に導くには、委託先との密なコミュニケーションが欠かせません。意識・認識の共有が不足すると、重大な問題が見過ごされやすく、成果物の品質に悪影響が及ぶ可能性があります。
定期的な進捗確認や課題共有の機会を設け、明確な伝え方を心がけることで、誤解やミスのリスクを最小限に抑えましょう。
プロジェクトの管理を徹底する
プロジェクトの成功には、期間と予算の適切な管理が重要です。しかし、予期せぬ事態により当初の計画が崩れるケースは少なくありません。問題発生時には優先順位を明確にしたうえで、状況に応じた柔軟な対応を心がけましょう。
企業の実績を確認する
自社プロジェクトと類似する開発実績を持つ企業は、委託先としておすすめです。可能ならば、窓口担当者との打ち合わせだけではなく、開発を担当するエンジニアともコミュニケーションを取る機会を設けましょう。コミュニケーションを通じて、技術力やプロジェクトへの意欲などを具体的に判断できるためです。
まとめ
オフショア開発を成功に導く進め方のポイントは、密なコミュニケーションと適切なプロジェクト管理です。適切な委託先を選定し、その国の特性や背景を理解することで、オフショア開発を成功させられるでしょう。
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