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オフショア開発における法律や規制とは?注意点やトラブルなどを解説

オフショア開発では、海外の開発会社とともに開発を進めていくことになります。トラブルを避けるためには言語や文化の違いだけでなく、現地の法律や規制について把握しておくことも重要です。本記事では、オフショア開発における法的な留意点について解説します。オフショア開発における源泉徴収の必要性も述べるため、ぜひ参考にしてください。

目次[非表示]

  1. 1.オフショア開発とは
  2. 2.オフショア開発における契約形態
    1. 2.1.ラボ契約
    2. 2.2.請負契約
  3. 3.オフショア開発では国ごとの法律や規制の違いに注意
  4. 4.オフショア開発を活用する際の法的な注意点
    1. 4.1.準拠する法律
    2. 4.2.裁判管轄
    3. 4.3.雇用制度
    4. 4.4.成果物の権利
    5. 4.5.データ保護とプライバシー
  5. 5.オフショア開発の報酬の支払いに源泉徴収は必要?
    1. 5.1.基本的に源泉徴収は不要
    2. 5.2.著作権の有無によっても異なる
    3. 5.3.インドへの委託には源泉徴収が必要
  6. 6.法律・規制以外のオフショア開発でよくあるトラブル
    1. 6.1.成果物の品質が低い
    2. 6.2.納期が守られない
    3. 6.3.コミュニケーションがうまくいかない
  7. 7.オフショア先を選ぶ際のポイント
    1. 7.1.国ごとの違い
    2. 7.2.開発実績
    3. 7.3.エンジニアのスキルレベル
    4. 7.4.管理体制
  8. 8.オフショア開発の契約締結までの手順
    1. 8.1.要件や仕様について相談する
    2. 8.2.契約方式や開発方式を決める
    3. 8.3.見積もりを確認し、契約を締結する
  9. 9.オフショア開発の契約を結ぶ際のポイント
    1. 9.1.契約書に必要事項を網羅する
    2. 9.2.英語に不安がある場合は語学力のある人材を確保
    3. 9.3.トラブルリスクが高い点は明確なルールを決めておく
  10. 10.まとめ

オフショア開発とは

オフショア開発とは、海外の企業や現地法人などに開発業務を委託することです。ただし、広義のオフショア開発には開発業務だけでなく、インフラの構築や保守運用業務なども含まれます。

国内のIT人材が不足するなか、オフショア開発は人材の確保や開発力の強化、コスト削減のために人件費の安い国に委託するなど、さまざまな目的から世界中で注目を集めています。

オフショア開発における契約形態

オフショア開発における契約形態は、ラボ契約と請負契約の2種類です。それぞれの契約形態について、以下で詳しく解説します。

ラボ契約

ラボ契約とは、自社のプロジェクトのために一定期間エンジニアを確保してもらう契約形態です。案件の発生ごとに契約を結ぶ場合とは異なり、契約期間内は自社専属のエンジニアチームを持つことができます。中長期的に人員を稼働させることが可能であり、仕様変更にも柔軟に対応してもらえる点がメリットです。

請負契約

請負契約とは、契約時に定義した成果物を、決められた期限までに納品することを約束する契約形態です。ラボ契約とは異なり契約期間は比較的短期になることが多く、案件ごとに契約を結びます。また、1つの案件が終わるとプロジェクトは解散します。

オフショア開発では国ごとの法律や規制の違いに注意

法律はその国の文化や価値観などを反映して作られるため、国が違えば法的なルールはまったく異なります。オフショア開発についても例外ではなく、日本と諸外国とでは関連する法律や規制が異なる場合が多いでしょう。

そのため、オフショア開発を活用する場合は、依頼先の法律をあらかじめ調べておくことが大切です。どのルールを適用するのかについて、双方が納得したうえで契約を結ぶことが、トラブルの回避につながります。

オフショア開発を活用する際の法的な注意点

オフショア開発における法的注意点は主に次の5つです。

準拠する法律

海外に開発業務を委託する際は、準拠する法律を明確化する必要があります。つまり、日本とオフショア先のどちらの法律に準拠するのか、事前に決めておくことが大切です。

基本的には日本の法律を適用することになりますが、オフショア先から「自分たちの国の法律に準拠したい」と要望を受けることもあるでしょう。トラブルを回避するためにも、双方が納得したうえで取り決めることが重要です。

裁判管轄

万が一、オフショア先とのトラブルが起こった際に、どちらの国の裁判所に提訴するかを明確化します。基本的には準拠法と同様、日本の裁判所にすることが多いでしょう。なお、準拠法と裁判管轄が別々の国の場合、判決を執行できない可能性があるため注意が必要です。

雇用制度

オフショア先で現地の人材を採用する場合は、その国の雇用制度を確認しておきましょう。日本の感覚をそのまま適用しようとすると、現地の制度では法律違反になることもあるため注意が必要です。また、オフショア先に子会社がなく、日本国内の企業で雇用する場合は、日本の外国人雇用制度が懸念となる可能性もあります。

成果物の権利

成果物の著作権や所有権などを事前に定めておくことも大切です。一般的に、成果物の権利は依頼者に帰属するケースが大半ですが、オフショア先が一部の権利を保有することもあります。こうした取り決めについても、契約書に明記しておきましょう。また、国によっては、著作権譲渡契約の記載事項が法律で定められている場合もあるため、事前の確認が重要です。

データ保護とプライバシー

委託開発では、社内の機密情報を委託先に共有することが多くあります。

オフショア開発の場合、委託先の国とはデータ保護に関する法律が異なる可能性があり、関連する法律や規制をしっかりと理解することが大切です。また、セキュリティに対する意識も国によって異なるので、オフショア先の管理体制を確認する、契約書に機密情報の取り扱いについて明記するといった対策が必要です。

オフショア開発の報酬の支払いに源泉徴収は必要?

ここからは、オフショア開発における源泉徴収の必要性について解説します。

基本的に源泉徴収は不要

日本の法律では、国外への委託については、基本的に源泉徴収は不要です。ただし、課税の扱いについては国同士の租税条約が優先されます。日本はOECD加盟国なので「OECDモデル租税条約」が適用されますが、オフショア先が加盟国でない場合は注意しましょう。

著作権の有無によっても異なる

委託の成果として得られるソフトウェアは、著作権の対象です。オフショア先から著作権を譲渡されるような形になっている場合は、日本での源泉徴収が必要になる可能性があります。個別のケースごとに判断されるため、不安な場合は専門家へ相談するとよいでしょう。

インドへの委託には源泉徴収が必要

インドとの租税条約では、インドで行われた開発業務に対しても、インドへ支払う対価には源泉徴収が必要と定められています。事前に租税条約届出書を提出していれば10%、そうでない場合は20.42%の源泉徴収が必要です。

法律・規制以外のオフショア開発でよくあるトラブル

オフショア開発では、法律や規制の問題以外にもさまざまなトラブルがつきものです。ここからは、法律・規制以外のよくあるトラブルについて解説します。

成果物の品質が低い

IT業務のアウトソースでは、委託先から納品されたものが要件や設計と異なったり、期待していた品質に達していなかったりするケースがあります。特に海外は、日本のように明確な指示がなくても「よしなにやる」という文化がありません。言わなくてもわかるだろうと思わず、要件や指示を明確にすることが重要です。

納期が守られない

オフショア先によっては、納期を遵守するという意識が低く、スケジュールにルーズな国もあります。また、後に追加の開発が必要になり、スケジュールに遅れが生じるケースもあるでしょう。

コミュニケーションがうまくいかない

オフショア先とは言葉の壁があるため、細かなニュアンスが伝わらず、コミュニケーションの齟齬が生じることも少なくありません。また、文化や価値観、商習慣の違いもあるので、日本の「当たり前」は通用しないと思った方がよいでしょう。国ごとの違いを理解し、簡潔でわかりやすい表現を使用するなど、コミュニケーションの方法を工夫することが大切です。

オフショア先を選ぶ際のポイント

オフショア先を選定する際は、次の4つのポイントを確認しましょう。

国ごとの違い

まずは、国ごとの違いを理解し、オフショア開発の拠点を選びます。現地の法律はもちろん、言語や文化、時差や人件費相場などをチェックすることが大切です。たとえば、近年のオフショア先としては、ベトナムが人気を集めています。

開発実績

オフショア先の企業を選ぶときには、依頼したいプロダクトに類似するものの開発実績があるか確認するようにしましょう。開発会社から提示された実績資料を確認し、開発規模や期間、トラブル時の対応などにも踏み込んで、細部まで確認できると理想です。

エンジニアのスキルレベル

自社が求めるスキルを保有するエンジニアが在籍しているかどうかも重要です。開発業務に携わるエンジニアのスキルレベルや、現地の教育体制などをチェックしましょう。

管理体制

オフショア先の企業の管理体制を確認することも大切です。特に、ラボ契約を結ぶ場合は「契約期間中にメンバーが固定されるか」「メンバーがきちんと稼働できるか」といったポイントを確認しましょう。他にも、進捗管理体制や品質管理体制をチェックすることも重要です。

オフショア開発の契約締結までの手順

オフショア開発の契約締結までの流れでは、概ね以下のとおりです。

要件や仕様について相談する

まずは、自社が抱える課題や作成したいプロダクトの仕様などを定めて、オフショア先に相談しましょう。可能であれば、社内で詳細な設計をしておくと、プロジェクト開始後に明確な指示を出しやすくなります。

契約方式や開発方式を決める

次に、契約方式や開発方式を決定します。ラボ契約または請負契約、ウォーターフォール開発またはアジャイル開発などの方式から、自社や案件に合わせて選択しましょう。

見積もりを確認し、契約を締結する

見積もりを提出してもらい、調整後に契約を結びます。なお、はじめから1社に絞り込むよりも、複数社から見積もりを取る方法がおすすめです。

オフショア開発の契約を結ぶ際のポイント

オフショア開発の契約を結ぶ際には、次の3つの点に注意しましょう。

契約書に必要事項を網羅する

オフショア先とトラブルが起きたときは、契約書が有効な証拠になります。具体的には、次のような項目をあらかじめ記載しておくと安心です。

  • 成果物
  • 作業範囲
  • 報酬や支払い通貨、レート
  • 日報の報告頻度
  • 納期
  • エンジニアの技術要件
  • エンジニアの人数
  • セキュリティ規定
  • 準拠法

英語に不安がある場合は語学力のある人材を確保

オフショア開発では、日本語または英語で現地とのコミュニケーションをとる場合が多いでしょう。委託先によってはコミュニケーション手段が英語のみのため、英語に不安がある場合は、語学力のある人材を確保しておくと安心です。

トラブルリスクが高い点は明確なルールを決めておく

コミュニケーションや品質など、あらかじめトラブルが予想される点については、契約の段階で話し合い、対策を立てておきましょう。リスクが高い点についてルールを明確化することが、トラブルの回避につながります。

まとめ

オフショア開発に関連する法律は、国によって異なります。オフショア開発を活用する場合は、委託先の国の法律や規制をきちんと把握しておくことが大切です。また、契約を結ぶ際は準拠法や裁判管轄などを明確化し、トラブルを未然に防ぎましょう。

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