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オフショア開発の契約書の基本|契約の種類や締結の流れ、注意点を解説

オフショア開発を検討する際、「契約書はどのように締結すればよいのか」との悩みに直面するケースは、少なくありません。海外とのやり取りになるオフショア開発では、完成度の高い契約書の締結が成功を左右する重要要素です。

この記事では、オフショア開発にあたり、契約の進め方や記載すべき内容を知りたい人に向けて、契約書締結の流れや注意点も網羅して詳しく解説します。オフショア開発の概要も、改めてまとめました。オフショア開発に最適な委託先企業を見つけ、正確に契約を締結するヒントとして、役立ててください。


目次[非表示]

  1. 1.オフショア開発とは
  2. 2.オフショア開発の具体例
  3. 3.オフショア開発の契約形態は2種類
    1. 3.1.1.ラボ契約
      1. 3.1.1.ラボ契約が向いているオフショア開発
    2. 3.2.2.請負契約
      1. 3.2.1.請負契約が向いているオフショア開発
  4. 4.オフショア開発の契約形態別のメリット・デメリット
    1. 4.1.オフショア開発・ラボ契約のメリットとデメリット
    2. 4.2.オフショア開発・請負契約のメリットとデメリット
  5. 5.オフショア開発の契約書を締結する基本の7ステップ
    1. 5.1.1.希望要件・仕様をまとめる
    2. 5.2.2.希望条件を満たせる委託先を探す
    3. 5.3.3.契約形態を決定する
    4. 5.4.4.NDA(秘密保持契約)を締結する
    5. 5.5.5.見積書を提出してもらい、検討する
    6. 5.6.6.契約条件を交渉する
    7. 5.7.7.契約を締結する
  6. 6.オフショア開発の契約書を締結する際の注意点
    1. 6.1.契約書を精査し、必要な項目が漏れなく入っているかチェックする
    2. 6.2.日本語対応が可能な範囲を確認しておく
    3. 6.3.想定されるトラブルへの対処法を明記する
  7. 7.まとめ

オフショア開発とは

オフショア開発とは、海外企業に開発業務を委託する手法です。コスト面や技術力、運用体制などの面でメリットが多く、選択する企業が増えています。ただし、海外とのやりとりが必須であり、業務範囲や責任の根拠・明示として、契約書が重要な役割を果たします。

オフショア開発の具体例

オフショア開発は、次のような分野でよく利用されています。

  • 基幹システム開発
  • Webシステム
  • ECサイト開発
  • アプリ開発
  • AI(人工知能)、機械学習
  • VR開発

開発業務だけではなく、システムのテスト工程や保守・運用だけをオフショアに委託する例も見られます。

オフショア開発は、国内ではエンジニアの採用・育成が難しい分野で積極的に実施されています。また、開発したいシステムの仕様や、機能の優先度の変更がしばしば起きる分野でも、柔軟に稼働できるオフショア開発が利用されています。

オフショア開発の契約形態は2種類

オフショア開発を進める際、選べる契約は2つあります。2種類の契約形態を詳しく解説します。

1.ラボ契約

ラボ契約は、発注側企業が一定期間、受託側企業のエンジニアチームを確保し、業務を進める形態です。チームは発注側企業の指示に基づき、開発を進めます。発注者側がエンジニアチームを管理できる点が特徴です。大規模、あるいは継続的に業務が発生するプロジェクトに適しています。

ラボ契約が向いているオフショア開発

エンジニアを確保し、柔軟に運用できるラボ契約は、以下の分野に向いているオフショア開発の契約形態です。

  • Webシステム
  • AI(人工知能)、機械学習
  • ソフトウェア・アプリ開発 など

2.請負契約

請負契約は、発注側企業が受託側企業に特定の成果物を依頼し、依頼内容通りの成果物を納品してもらう契約形態です。一定の成果物が必要なプロジェクトで採用され、成果物の納品をもってオフショア開発が完了となります。万一、成果物に不備があった場合は、受託側企業が修正の責任を担います。費用の支払いは成果物の納品後です。

請負契約が向いているオフショア開発

成果物の納品という明確なゴールがある請負契約は、以下の分野に向いているオフショア開発の契約形態です。

  • ITインフラ構築
  • ウォーターフォール型の開発案件
  • 小規模で仕様が明確に決まっている案件
  • コスト管理を厳格に行いたい案件 など

オフショア開発の契約形態別のメリット・デメリット

オフショア開発では、ラボ契約・請負契約のどちらの契約形態を選ぶべきでしょうか。契約形態別に、メリットとデメリットを解説します。

オフショア開発・ラボ契約のメリットとデメリット

ラボ契約のメリットとデメリットは、以下の通りです。

メリット

・優秀なエンジニアを一定期間、確保できる
・契約期間を通じて、安定的に開発できる

デメリット

・短期案件には費用対効果が低い
・発注前に仕様や方向性を固めなければならない

ラボ契約は、海外の優秀なエンジニアを一定期間に渡って確保できる点が強みです。長期的・安定的な人材確保が叶うため、トータルの費用対効果が高まります。人材確保の懸念なく、長期の開発を委託したい案件に向いています。一方で、短期案件では費用対効果は高くありません。

オフショア開発・請負契約のメリットとデメリット

請負契約のメリットとデメリットは、以下の通りです。

メリット

・人材の確保や育成が不要
・納期までに成果物の納品が約束される

デメリット

・発注後の仕様変更は基本的に不可
・契約段階で要件の決定が必須

発注側企業にエンジニア確保・育成の負担がなく、納期には依頼した成果物が納品されると見通せる点が、請負契約のメリットです。ただし、契約段階で要件を詳細に決める必要があるため、基本的に発注後の仕様変更はできません。仕様が決まっており、変更の可能性がない案件におすすめです。

オフショア開発の契約書を締結する基本の7ステップ

オフショア開発では、契約書が何より重要です。契約書の締結に至るまでの7つのステップを解説します。

1.希望要件・仕様をまとめる

最初に、オフショア開発に出したい案件の希望要件や仕様を洗い出し、まとめます。案件の目的や得たい成果、使用する技術、言語、プラットフォームなども明確化しましょう。始めはおおまかに定義し、要件や仕様を詳細に詰めながら、深掘りが必要な項目や疑問を精査していくと円滑に進みます。

2.希望条件を満たせる委託先を探す

要件や仕様がまとまったら委託先を探します。オフショア開発を手がける企業をリストアップし、信頼性や実績、技術力などを総合的に評価し、決定します。以下は、オフショア開発の委託先として人気の国です。

  • ベトナム
  • フィリピン
  • インド
  • 中国
  • バングラデシュ
  • カンボジア
  • インドネシア
  • ミャンマー
  • 韓国

3.契約形態を決定する

オフショア開発の契約形態は、ラボ型・請負型の2種類です。案件の目的や性質を踏まえ、最適な契約形態を選択します。加えて、開発方式についても押さえておきましょう。開発方式には、ウォーターフォールモデルとアジャイルモデルの2種類があります。

  • ウォーターフォールモデル:要件、仕様を最初に決定し、発注する
  • アジャイルモデル:案件を進めながら、設計や開発、実装を進行する

開発形態によっても、適した契約形態が異なります。

4.NDA(秘密保持契約)を締結する

NDAとは、委託側企業と受託側企業が締結する秘密保持に関する契約です。本契約の前に締結してください。

NDAでは、主に以下の内容に合意します。

  • 秘密情報の対象
  • 秘密情報の使用目的
  • 秘密情報を漏洩しない義務
  • 守秘義務の有効期間 など

NDAの締結により、情報共有への安心度が高まり、より詳細な情報を伝えられるようになります。

5.見積書を提出してもらい、検討する

委託先企業の候補が決まったら、オフショア開発の見積書を提出してもらい、委託可否を検討します。見積書は、以下のポイントをチェックしてください。

  • 予算
  • スケジュール
  • 希望要件の充足度
  • 想定されるリスクへの対応 など

受託先企業が提示する内容が、自社の希望を充足するか慎重に評価しましょう。また、スケジュールや予算が妥当かどうかも、チェックしておきます。

6.契約条件を交渉する

受託側企業の見積書・提案書をもとに、契約条件を詳細に交渉します。契約内容の交渉では、以下の点に注意してください。

  • 支払いのタイミングと方法
  • 納品物の期限
  • 各当事者の責任と義務 など

オフショア開発では、すべての業務は契約書に基づいて進行します。契約書に不備や漏れがあると、後のトラブルにつながりかねません。心配な場合は、法務部門や弁護士といった、契約の専門家にも相談しましょう。

7.契約を締結する

契約条件の交渉が完了し、双方が納得できる契約内容が確立したら、契約書にまとめ、契約を締結します。契約書には、発注側企業・受託側企業の双方による署名・押印が必要です。近年は、電子署名やデジタルサインも利用されます。契約書の締結をもって、案件が始まります。

オフショア開発の契約書を締結する際の注意点

オフショア開発の契約書締結に際し、知っておきたい注意点を3つ解説します。

契約書を精査し、必要な項目が漏れなく入っているかチェックする

オフショア開発の全業務は、契約書にのっとって進行します。案件に必要な項目が、漏らさず契約書に記載されているか、入念にチェックしましょう。以下は、契約書に入れておきたい項目の例です。

  • 納期
  • 報酬
  • 作業範囲
  • 目指すべき成果物
  • 支払い通貨、為替レート
  • 報告の頻度と様式
  • エンジニアの技術要件、人数
  • セキュリティに関する規定
  • 準拠法

契約書に詳細を記載しておくことで、万が一トラブルが発生しても契約書に基づいて対応ができるようになります。その結果、迅速な問題解決につながり、プロジェクトの遅延なども抑えられるでしょう。

日本語対応が可能な範囲を確認しておく

オフショア開発では、基本的に日本語と英語で意思疎通します。ただし、受託側企業によっては、日本語対応不可・英語のみ可とするケースも見られます。

使用言語や言語運用能力の差は、齟齬や誤解の原因となり、トラブルを誘発しかねません。不要な問題を回避するためにも、日本語対応が可能な範囲を明確にしておきましょう。

想定されるトラブルへの対処法を明記する

オフショア開発では、海外に委託するゆえに想定外のトラブルが発生する場合が多々あります。

  • コミュニケーションや相互理解が難しい
  • 発注にそぐわない成果物が納品された
  • 開発コストが、当初想定より高額になった
  • エンジニアが予定外に入れ替わった など

多くの事例を参考にトラブルを想定し、トラブルに応じて対処法を決めておくようにしましょう。

まとめ

オフショア開発は、海外に開発業務を委託する手法です。案件の性質や目的により、ラボ型・請負型の2種類から契約形態を選びます。

海外に発注する特性上、想定外のトラブルに見舞われる案件も少なくありません。もし、ITインフラエンジニアが必要な場合は、アイエスエフネットにご相談ください。アイエスエフネットは、国内最大級のITインフラ専門のエンジニア派遣サービスを提供しております。教育された正社員のITインフラエンジニアが在籍しており、御社のニーズに合わせてエンジニアをご提案いたします。

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