BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)のメリット・デメリット|これからの需要予測はどうなる?
最近、“BPO”という言葉を一般的に使う機会が増えてきました。
実際に労働契約法の改正や、時間外労働の上限規制が定められたことで、業務を外部へアウトソースする傾向が企業全般に広がっています。
皆さまの所属している情シス部門でも、『「問い合わせ対応」や「キッティング」などアウトソースしているよ』と言うところも多くいらっしゃると思います。
でも実は...
『BPOを説明しろと言われると...』
『BPOとアウトソーシングの違い、よく分からないです....』
といった方も多いのではないでしょうか?
今回、BPOの意味、アウトソースとの違い、メリットなどのポイントを解説していきます。
目次[非表示]
- 1.BPOとは
- 2.BPOとアウトソーシングの違い
- 3.BPOのメリット
- 3.1.専門スキルの活用
- 3.2.コア業務への集中と効率化
- 3.3.コスト削減
- 4.BPOのデメリット
- 4.1.自社内での業務蓄積のノウハウが困難
- 4.2.セキュリティリスク
- 5.BPOのこれから
- 6.まとめ
BPOとは
BPOとは、ビジネス・プロセス・アウトソーシングの略で、 たとえば情シス部門にとっては総務や人事、経理といったノンコア業務(副業務)、自社には運用ノウハウがない業務を、継続的に外部の事業者に委託することを指します。
BPOが注目されている理由のひとつとして、「企業の人材不足」があげられます。
人材不足の状態では、従業員ひとりあたりの仕事量が増加していることでしょう。
さらに、多忙によって業務の質が低下してしまうことで、結果として利益の減少につながる可能性もあります。
この問題を解決するためには人材の確保が不可欠ですが、少子高齢化による労働力人口の減少により、なかなか満足のいく採用が難しいのが現状です。
人出が足りない中、満足のいく採用ができていないことで、既存の従業員だけで業務を回さざるを得なく、組織全体の疲弊を招く状態になっている企業もあります。
そこで役立つのが、BPOです。
たとえば利益に直結しないノンコア業務を、外部の事業者に委託すれば、既存の従業員をコア業務(主業務)に集中させることが可能になります。
BPOとアウトソーシングの違い
BPOについてはなんとなく知っているけど、アウトソーシングと一緒だよね、、と考えている方もいると思います。
その名の通り、BPOはアウトソーシングの一種ではあるものの、言葉として利用される場合にそれぞれ意味が異なりますので注意しましょう。
まず、「アウトソーシング」とは、業務の一部を“代わりにやってもらうこと”です。
それは、派遣会社から人材を提供してもらう場合でも、業務代行会社に実施してもらう場合も同様です。
一方で「BPO」とは“業務を任せること”です。
「任せる」の中には、業務フローの改善や効率化などの意味が含まれます。
たとえば情シス部門でアウトソーシングされることの多い、ヘルプデスクの場合、以下のように異なります。
*アウトソーシング:ヘルプデスクで人員不足が発生した際、運用フローは変えずに対応してもらう。
*BPO:ヘルプデスクそのものを任せ、運用フローなどを含めて一任する。
このように、言葉の意味合いに明確な違いがあるため、業務を外注したい場合に、アウトソーシングが得意な会社に頼むのか、BPOが得意な会社に頼むのかについて留意する必要があります。
BPOのメリット
次にBPOのメリットについて解説します。
BPOのメリットとしては、以下の3点があげられます。
・専門スキルの活用
・業務のコア集中化と効率化
・コスト削減
専門スキルの活用
1点目は、人事や経理、ITなどの専門的な知識とスキルをもつスタッフが業務を担当するため、法改正への対応や、最新のIT技術の導入なども速やかに行うことができるようになります。
コア業務への集中と効率化
2点目は、アウトソーシング化できる業務を丸ごと外部企業に任せてしまうことで、限りある経営資源をよりコア業務に集中できます。
社員が一から技術を覚える必要がなく、専門外の教育をあえて受けることもありません。
また、専門企業は蓄積されたノウハウを持っているため、ノウハウを活用してプロセスを最適化、業務の効率化が期待できます。
コスト削減
3点目は、人件費はもちろん、業務の効率化によりコスト削減が期待できます。
BPOを活用することによって、固定費の変動費化も可能となります。
例えば、自社のプロパーがやってきた業務をアウトソースすることで、プロパーへの給与(固定費)から業務委託費(変動費)に切り替えることが可能です。
BPOのデメリット
逆にBPOのデメリットは何でしょうか?
主に以下の2点があげられます。
・自社内での業務蓄積のノウハウが困難
・セキュリティリスク
自社内での業務蓄積のノウハウが困難
BPOで社内の業務を一括で委託することにはメリットが多い反面、社内でそのプロセスを蓄積することが難しいというデメリットがあります。
BPO業者は、特定分野において専門的で高度な知識を持っていることが多く、その情報とノウハウの共有は委託元の企業とはいえ制限するケースが珍しくありません。
また、BPOは継続して活用することが前提となっており、もし途中でBPO業者を変えることになれば、その変更に多大な時間と労力が必要になります。
セキュリティリスク
BPOを主業としている企業は、ISMSやプライバシーマークの認証を取得している企業が多いため、情報漏洩リスクが低減するという場合がほとんどです。
しかしながら情報セキュリティ意識が低い業者に委託してしまうと、思わぬ事故を引き起こされてしまう可能性も忘れてはいけません。
BPO含めたアウトソーシングを検討される際は、その相手がISMSやプライバシーマークを取得しているかの確認は必ず行いましょう。
また、具体的にどんなセキュリティ対策を実施しているかの確認も行ってから、依頼するのがベターだと考えます。
BPOのこれから
最後に、BPOがこれからどうなっていくのか見ていきましょう。
特に最近、深刻な人材不足の問題を背景に、企業は足りない人材を補うため、自社の間接業務や委託が可能な業務を外部企業にアウトソースすることが増えています。
また、労働契約法の一部改正により、パート、アルバイト、派遣社員など期間に定めのある有期労働契約でも5年以上契約が更新された場合、労働者自らの意思で無期労働契約に雇用形態を切り替えることが可能になりました。
これにより企業が有期労働契約の雇用に躊躇する傾向が生まれ、雇用契約ではなく業務委託契約に基づくBPOの需要が増加しています。
また、時間外労働の上限規制が導入されたことも大きく関係しています。
法改正により、社員ひとりあたりの業務量が調整されたため、足りないリソースを外部企業から調達せざるを得ない状況が生まれました。
さらに、日本市場に参入する外資系企業が増加したことでアウトソーシング需要が拡大していることもBPOサービス市場が伸びている要因のひとつです。
これからも、BPOの需要は加速しながら伸びていくと予測されます。
BPO市場予測
BPOサービス市場の年間平均成長率は3.5%、2023年時点での市場規模は9,147億円になる見込み(出典:IDC Japan)
まとめ
従来は「できないから他に頼む」、「人が足りないから外注する」というケースが多く見られました。
社内でできないことを、社内の水準で外部に依頼するというわけです。
これに対しBPOは「社内で業務を行うより高い水準を目指し、全体的な業務の効率化ができる」ということが大きな特徴です。
BPO導入を検討する際には、導入目的を明確化し、業務量やサービスレベルなどこちらの要求に応えられるBPO業者の選定を行うことが、非常に重要なポイントとなります。
以上の内容から、BPOのポイントを踏まえて、社内のコスト削減や業務のアウトソースに役立ててみてください。
BPOの実績多数!お困りの方はこちらへ