Slackのチャンネル活用|社内実例から見る実践的な使い方を紹介!
これからSlackの導入を検討しているIT担当者向けに、実際にSlackを導入して約1年(2021年10月現在)が経過した弊社が、Slackを取り入れたことでどのような効果があったのか、実例をもとに紹介していきます。
今回のテーマは、Slackの大きな特徴のひとつである「チャンネル」の運用についてです。
チャンネルはSlackを語るうえで欠かせない機能であり、チャンネルを使いこなすことで、従来のメールや、よくあるグループチャットとはまったく異なる業務環境を構築することが可能になります。
なお、Slackの概要と基本機能については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
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チャンネルの概念
Slackには「ワークスペース」と「チャンネル」の概念があります。
チャンネルは、プロジェクトやトピック、テーマごとに分かれた専用の会話スペースで、組織やチーム単位で作成されたワークスペースのなかに、複数のチャンネルが内包されているような構成になっているのです。
チャンネルには、ワークスペースに所属しているメンバー全員が閲覧できる「パブリックチャンネル」と、限られたメンバーだけが閲覧できる「プライベートチャンネル」があります。
Slackのデフォルトの設定では、チャンネルはワークスペースにいるメンバー全員が自由に作成できます。
そのため、メンバーは用途に応じてさまざまな目的のチャンネルを作り、部署などの枠組みにとらわれずに、関係者を集めてディスカッションができます。
とくに、パブリックチャンネルについては、ワークスペースに所属する全員が閲覧できることから、組織内における情報共有の効率性や透明性の向上が期待できるでしょう。
チャンネルは、「ライフハックの共有チャンネル」や「好きな映画を紹介するチャンネル」「雑談チャンネル」など、業務に関連しないチャンネルを作ることによって、メンバー同士のコミュニケーションの促進にも利用できます。
テレワーク需要が高まるなかで、これまでのようなオフィスでの対面によるコミュニケーションが取りづらくなった状況では、チャットツールは必要不可欠なものになりつつあります。
そのような時流において、Slackは単なるチャットツールではなく、チャンネルという仕組みを活用することで、出社していたときよりもむしろ、部署の垣根を超えた密接な社内コミュニケーションが実現できるでしょう。
チャンネル活用事例
前置きとして、従来の弊社における業務連絡は、メールまたは電話やSMSが主流でした。
そのため関係者への情報共有も都度メールの転送を行ったり、伝言ゲームになりがちで、そのようなやり方では業務の属人化も起きやすい状況でした。
そんな弊社がSlackを導入して約1年が経過した現在、メールからチャンネルでのやりとりに移行したことで業務効率が大きく向上した例を3つ紹介します。
事例(1)問い合わせ窓口をパブリックチャンネルに集約
人事部や総務部などの管理部門において、問い合わせ事項は従来メールでの受付けとなっており、社員からの問い合わせに対して個別に回答するという状況でした。
この場合、問い合わせに対する回答ナレッジは部門内ではMLなどで共有できるものの、部門外の社員には見えません。
そのため、同じような問い合わせが複数の社員から寄せられるケースも少なくなく、それぞれにメールで同じ回答を行うという手間が発生していました。
もちろん部門ごとに社内ポータルサイト上へ、よくある問い合わせページなどを設け、頻出の問い合わせ内容を掲載するなど工夫をしていました。
しかし、サイトを更新する工数や、ページを見ないで問い合わせる社員が後をたたず、問い合わせ対応に費やす割合が減少するまでには至りませんでした。
そこでSlack導入後、初期になされた施策のひとつが「各部署に最低限ひとつの問い合わせ用チャンネルを作ること」でした。
つまり、これまでメールで受け付けていた問い合わせをSlackの専用パブリックチャンネルへ集約させたのです。
これには、以下のようなメリットがありました。
- ワークスペースに参加している全社員が閲覧できること
- 問い合わせと回答が一箇所に集約していること
- 社員はチャンネル内から過去のナレッジを検索できること
Q&Aページを用意しながらメールで問い合わせを受け付けていた場合のデメリットを、すべてカバーできています。
とくに効果が大きかったのは、ちょうど弊社の人事評価制度が大きく変わったタイミングのときでした。
人事評価に関わることなので、社員の関心度も高く、Slackの問い合わせチャンネルにも質問が寄せられました。
それに対して担当者はSlack上で回答をしていきますが、パブリックチャンネルのため、同じような疑問を抱いていた社員はその回答を見ることで、新たに同じ質問をする必要がなくなります。
また、Slackのチャンネル自体がQ&Aページの役割を果たしているので、新規の問い合わせも、まずはチャンネル内を検索することで、既知の質問かどうかを確認することができます。
結果、人事部における問い合わせ対応の負担が軽減され、Slackの導入によって工数削減につながりました。
事例(2)地方支店間における情報連携をチャンネルに集約
弊社の主要なソリューションとしてエンジニア派遣がありますが、エンジニアの所属は東京本社だけではなく、全国の拠点にも多数在籍しています。
各支店におけるそれぞれの案件進捗やエンジニア提案状況について、情報連携しながら人材コーディネートを進めていきますが、その手段が従来はメールや電話などであり、さらには支店長クラス以上の役職者のみでやりとりされている状況でした。
当然そのような状況では、以下のような課題がありました。
- 各支店同士がそれぞれ個別にやりとりしているため、全体共有には都度連絡が必要であり、そのタイムロスによって機会損失があった
- 支店ごとにメールや電話など情報共有の手段に違いがあったため、情報の後追いに工数がかかった
- 支店長以上の役職間でのみやりとりが進められていたため、担当者レベルまで指示が届く際に行き違いが生じていた
それぞれの課題に対して、Slackを導入して「支店すべての関係者を集めた合同チャンネル」を作ることで、以下のように改善することができました。
- 複数の支店すべての関係者が集まるチャンネルのため、チャンネル上でのやりとりがその場で全体共有されるようになった
- やりとりはチャットメッセージに統一され、一箇所に集約しているため、チャンネル内検索により情報の後追いが容易になった
- チャンネルには関係者全員が参加しているため、担当者にもやりとりの経緯が把握でき、指示が正確に伝わるようになった
これにより、今までよりも情報共有の効率性が上がり、また正確な情報伝達が可能になったため、支店間の連携をスピーディーに行えるようになりました。
事例(3)BtoBマーケティングツールからのリード情報をチャンネルに通知
弊社では、 これまでソリューションサービスサイトからの資料ダウンロードなどのリード情報を、マーケティングツールによりメールで受け取るようにしていました。
メールの受信者はマーケティング担当となっており、メールを受信すると詳細を追記のうえ、担当営業へメールを転送するという流れで連携していました。
上記のようなやり方では、以下のような問題点がありました。
- マーケティング担当が手作業でメールへの詳細の追記と転送を行っているため、担当営業にリード情報が届くのにタイムロスが発生していた
- 担当営業がリード情報を受け取った後のアプローチについて、マーケティング担当側での把握に手間がかかった(都度、連絡して確認を行う必要があった)
- 営業間での横の連携が取れておらず、機会損失が発生していた
マーケティング担当と担当営業との個別のやりとりになっていたため、リードに対するアプローチの進捗が、マーケティング側でも営業側でも把握が難しく、属人的な対応になってしまっている側面がありました。
上記の問題を解決すべく、SlackのAPI連携(※1)によって、外部ツールからの通知をチャンネルで受け取る仕組みを利用しました。
つまり、マーケティングサイトからのリード情報を、メールではなく、Slackのチャンネルへ連絡されるようにしたのです。
この仕組みを利用したことで、これまであった問題点は以下のように改善されました。
- チャンネルに関係者全員が参加することで、瞬時に必要なメンバーへ情報共有が行われ、メールを転送するなどの工数が削減できた
- 各リードへの対応状況も、チャンネル内で報告することで、マーケティング側や営業同士が容易に進捗を把握できるようになり、連携がしやすくなった
これにより、メンバー同士がチャットを行う場だけでなく、外部ツールからの通知もチャンネルへ集約していくことで、Slackを中心に業務を進めていくことができるようになりました。
※1 API連携とは「アプリケーション・プログラミング・インターフェース(Application Programming Interface)」の略称です。簡単に言うと、異なるソフトウェアや、プログラム、クラウドサービスの間をAPIというインターフェイスでつなぐことを言います。インターフェイスとは直訳で「境界面」や「接点」となり、異なる2つのものを仲介するという意味を持ちます。
まとめ
ここまで弊社がSlackを導入して、実際に効果を感じた事例を紹介しました。
いずれも共通していることは、従来メールや電話で個別にやりとりしていた内容をSlackに一本化させ、関係者全員がチャンネルに参加することで情報共有の手間を省いたことです。
また、チャンネルは特定のトピックやプロジェクトに特化させ、関連する情報はすべてチャンネルに集約しました。
それが、たとえ外部ツール上にある情報であろうとも、Slackにはそのための手段も用意されているため、複数のツールを組み合わせて使う煩わしさも軽減されました。
さらに、やりとりの履歴そのものがナレッジの蓄積となり、パブリックチャンネルであれば、ワークスペース内の誰もがそのナレッジにアクセスできるという利点を生かすことで、問い合わせ用のチャンネルがそのままQ&Aページの役割を果たしたのです。
これら弊社における事例を踏まえ、チャンネルを活用するポイントを以下にまとめました。
- チャンネルは特定のトピックやテーマ、プロジェクトに特化させる
- 関係者や必要な情報はすべてチャンネルに集約させる
- チャンネルはなるべくパブリック設定で作る
この3つを意識して運用していくことで、Slackのチャンネルという仕組みを最大限に有効活用することができるでしょう。
※この記事は、公開時点の情報をもとに作成しています。