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自動化に適した業務の選定方法を紹介!効率化・コスト削減を成功させる考え方

DXを推進するにあたり、まずは既存業務の自動化から着手していこうと思っていても、具体的にはどう進めればよいのか分からない、ということはないでしょうか?

iPaaS製品のなかには、初心者でも非常に簡単に自動化プログラムを組むことができるサービスがありますが、そもそも自動化する業務の選定については、判断が難しいこともあるでしょう。

今回は、自動化に適した業務の選定方法を解説します。

また記事の最後には、どのような業務が自動化に適しているのか、部門別のサンプル業務プロセスも併せて紹介します。


※iPaaS:クラウド上で動作するアプリケーション統合プラットフォームのことで、具体的には、企業が所有する複数のアプリケーションを統合し、シームレスに連携させるためのツールセットを提供します。

目次[非表示]

  1. 1.業務プロセスとは
  2. 2.自動化に適した業務の選定基準
    1. 2.1.入力データの種類
    2. 2.2.マニュアルの有無
    3. 2.3.プロセスの安定性
    4. 2.4.業務のボリューム
    5. 2.5.自動化の難易度について
  3. 3.自動化に適した業務の部門別サンプルを紹介!
    1. 3.1.部門別 自動化アイディア
      1. 3.1.1.情シス部門
      2. 3.1.2.営業部門
      3. 3.1.3.人事部門
      4. 3.1.4.経理部門
  4. 4.まとめ
  5. 5.ローコードで業務自動化できるおすすめツール

業務プロセスとは

自動化に適した業務を選定するにあたり、まずは業務プロセスとは何か、ということについて理解しておきましょう。

業務プロセスとは、開始と終了があり、様々な作業の連なりから成り立つ一連の業務の流れのことをいいます。

そしてこれらは、たいてい複数の担当者や部署にまたがったものであることが多いです。

業務プロセスにおいて、一連の業務が開始されるきっかけとなるものを「入力」と呼び、それらはプロセスが終了する条件となる成果物を作成するために必要なデータや材料になります。

また、このときの成果物を「出力」と呼びます。

つまり、業務プロセスは「入力」されたデータや材料を成果物として「出力」する一連の処理や手続きと言い換えることができるでしょう。

なお、業務プロセスは作業手順とは区別されるもので、作業手順は業務プロセス内にある処理ひとつひとつを行うために必要な作業の順序のことを指します。

自動化に適した業務の選定基準

さて、前段の業務プロセスに関しての理解を踏まえて、自動化に適した業務をどのように選定していくか、その判断基準となる項目について解説します。

入力データの種類

大前提として、自動化するためには入力の材料となるデータは電子化されている必要があります。

つまり、紙の申請書類などはそのままでは利用できず、電子的なデータに置き換える必要があります。

また電子データであっても、規則性がなければ、それも入力用のデータとしては適さないでしょう。

まとめると、下記の通りです。


■自動化に適している

規則性のある電子データ:表形式のデータ(構造化データ)、決まったフォームに沿って記入されたデータ


■自動化に適さない

規則性のない電子データ:メールやチャットツール上のやりとり、ドキュメント形式のデータ


もし、既存業務において、業務プロセスの入力にあたるものが「電子化された規則性のあるデータ」に当てはまらない場合は、すぐに自動化を始めることは難しいため、まずは入力の仕方を見直すことが先決です。

たとえば、紙の申請書類なら電子フォームに置き換える、ドキュメント形式のデータは表形式に整えるなど、入力の方法を見直してみましょう。

マニュアルの有無

事前に業務マニュアルが作成されているのであれば、優先的に自動化の候補となり得ます。

この場合、業務はすでに可視化されているため、「入力」となる材料が「電子化された規則性のあるデータ」であれば、すぐに自動化に着手できます。

もしマニュアルがない場合は、事前に簡単なフロー図などに起こして、業務を可視化しましょう。

フロー図に起こす場合は、以下の3点を意識すると自動化の際に置き換えやすくなります。


  1.  業務の開始(入力)と終了(出力・成果物)を明確にする
  2.  業務の流れを時系列で記載する
  3.  条件分岐を明確にする


また、プロセスのなかで人の判断を要する場合は、可能な限り定量化された判断基準に置き換えましょう。

たとえば「メールの内容を確認する」という手順の場合、メールのどこがどうなっている状態を正とするのか、といったように明確に決めておくことで、機械でも判別できるようになります。

プロセスの安定性

自動化しようとしている業務のプロセスが、会社の組織変更やビジネスモデルの変更、法改正などによって、今後数ヶ月程で変わってしまう可能性がある場合、これから自動化をはじめるものとして、選定の優先度はかなり低くなります。

自動化を進めるにはそれなりの労力や時間がかかるため、直近でプロセスに変更があるとやり直しや、プロセスそのものが不要になり、かけた工数が無駄になってしまうためです。

そのため、なるべく変更の可能性が少ない普遍的な業務から自動化を検討しましょう。

業務のボリューム

自動化する業務の選定においては、費用対効果についても考慮する必要があります。

なるべく既存業務において、多くの工数が掛かっており、自動化した場合の工数削減率が高いものを優先的に選ぶとよいでしょう。

たとえば、15分で終わる業務よりも、1時間かかっている業務のほうが自動化の恩恵を受けやすく、同じように、月に1回の発生頻度よりも、毎日発生する業務のほうが自動化したときに高い効果を得られます。

自動化を始めるにあたり、少なからずコストが掛かるため、見合う効果があるのかどうかという点は非常に重要なポイントです。

自動化の難易度について

工数の掛かる業務というのは往々にして手順の多い業務でもあるため、はじめて自動化に取り掛かる場合に難易度が高すぎる可能性があります。

いきなり難易度が高すぎるものに取り掛かると、開発期間が必要以上に延びてしまうことで人的コストがかさみ、結果的に費用対効果が薄くなってしまいます。

その場合は比較的、条件分岐や使用するアプリケーションの種類が少なく、手順が分かりやすいものを優先的に選定していくとよいでしょう。

自動化難易度の低い業務プロセスから取り掛かり、ノウハウを蓄積していくことで、効率的にその他の業務も開発を進めていくことができます。

自動化に適した業務の部門別サンプルを紹介!

優先的に自動化する業務の選定方法についての解説をもとに、以下のような表を作成して比較すると分かりやすいでしょう。

基準となる項目に対して、業務の性質によって得点を割り振り、業務ごとに得点の比較を行います。

得点の高いほうが、より自動化の優先度が高いものとして、判断の目安にすることができます。

得点表サンプル

基準

0pt
1pt
入力データの種類
規則性のない電子データ
規則性のある電子データ
マニュアルの有無
なし
あり
プロセスの安定性
直近で変更の可能性がある
直近で変更の可能性がない
業務のボリューム
少ない
多い
業務の難易度
条件分岐や使用アプリが多い
条件分岐や使用アプリが少ない
比較表サンプル
業務名

入力データの

種類

マニュアルの

有無

プロセスの

安定性

業務の

ボリューム

業務の

難易度
合計pt
◯◯◯
1
1
1
0
0
3
△△△
1
1
1
1
1
5
◇◇◇
0
0
1
0
1
2

部門別 自動化アイディア

具体的にどのような業務が自動化に適しているのか、以下に部門別のサンプル業務プロセスを紹介します。

情シス部門

従業員の入退社に伴う各種アカウント発行・削除手続き

社内で利用しているシステムの数だけ、社員の入退社に伴うアカウントの発行・削除に工数が発生し、またヒューマンエラーが起きる可能性もあります。

人事DBと連携することで、入退社のタイミングで各システムからアカウントの発行や削除を自動化することで、工数削減や対応漏れを防止することができます。

営業部門

名刺管理アプリと営業支援システムのデータ同期

名刺管理アプリに取り込んだ顧客情報を、自動的に営業支援システムに同期します。

これにより、訪問記録なども自動的に更新することができ、入力の手間を省くのと同時に、顧客の役職や所属部署が変わった場合にも、データベースを自動で最新の状態に保つことが可能です。

人事部門

チャットツールと勤怠システムの連携による勤怠の打刻登録・承認

コロナ禍によりリモートワークに移行して、ビジネスチャットツールを導入した企業も少なくないでしょう。

もしチャットツールが業務の中心になりつつあるなら、勤怠システムと連携して勤怠の打刻登録や承認作業をチャットツールから行えるようにすることで、アプリケーション間の行き来をなくし、業務スピードの向上が期待できます。

経理部門

電子帳簿保存法に対応した電子保存フローを自動化

法改正により領収書や請求書は電子保存が義務化されましたが、社内データベースとストレージシステムを連携させることで、ファイルの電子保存に関する一連の作業(フォルダ作成やファイル名変更、メタ情報付与など)と、社内データベースの更新を自動化することができます。

これにより従来の業務からそれほど工数を増やすことなく、電帳法対応が可能となります。

まとめ

今回は、業務プロセス自動化について、自動化に適した業務の選定基準を紹介しました。

業務プロセスの自動化は、作業効率の向上や人的ミスの軽減など、多くのメリットがあります。

しかし、自動化に適さない業務を選定すると、導入コストや運用コストがかかってしまうばかりか、逆に作業効率の低下やミスの増加を招くことにもなりかねません。

そのため、選定基準を理解し、適切な選定が重要となります。

今回ご紹介した自動化に適した業務の選定基準や、得点表・部門別の業務アイデアを参考に、適切な業務選定をしていきましょう。


※この記事は、公開時点の情報をもとに作成しています。

ローコードで業務自動化できるおすすめツール

Microsoft365を契約している方は、Microsoft製品のひとつである、Power Automateで業務自動化を始めてみるのがおすすめです。
Power Automateってなに?という方は、できることや使い方を初心者向けに詳しく解説しているので、ぜひこちらもご覧ください。

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そのほか、ノンプログラマーで自動化が可能なツールとして、WorkatoやRPAについてもご紹介しています。あわせてご覧いただくことをおすすめします。

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川上 冬子
川上 冬子
バックオフィス業務やマネジメントを経て、情シスとして業務改善と自動化に携わりました。2年間で8種の業務を自動化。現在はマーケターに転身し、お客様の課題解決に役立つ情報をお届けします。プライベートでは1児の母、リモートワークかつ時短勤務をしながら、育児と仕事を両立させています。

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