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IT人材需給に関する調査とは?注目された理由やIT人材不足の原因・対策を解説

「IT人材需給に関する調査」は、経済産業省の主導で行われた調査です。その名のとおり、国内におけるIT人材の需要について調査したもので、その結果は世間にインパクトを与えました。本記事では「IT人材需給に関する調査」の結果をもとに、IT人材が不足する理由や、IT人材を確保する方法などを解説します。

目次[非表示]

  1. 1.「IT人材需給に関する調査」とは?
    1. 1.1.そもそもIT人材とは?
  2. 2.2030年にIT人材が最大約79万人不足する
  3. 3.IT人材不足に関するよくある勘違い
    1. 3.1.1.IT知識を持つ人が不足している
    2. 3.2.2.IT業界に就職したがる人が少ない
    3. 3.3.3.IT企業ではないから関係ない
  4. 4.IT人材が不足する4つの原因
    1. 4.1.高い専門性が求められるため
    2. 4.2.実務経験が必要とされるため
    3. 4.3.IT技術の進化が速いため
    4. 4.4.人材の高齢化
  5. 5.IT人材不足を解消する方法
    1. 5.1.採用方法や採用対象を見直す
    2. 5.2.IT人材の育成体制を整える
    3. 5.3.従業員のリスキリングを推進する
    4. 5.4.アウトソーシングを活用する
  6. 6.まとめ

「IT人材需給に関する調査」とは?

「IT人材需給に関する調査」とは、経済産業省の委託によってみずほ情報総研株式会社が実施し、2019年3月に公表された調査です。

IT人材の需要状況を把握する手法を検討しながら、これからの日本におけるIT人材需要の推移を試算することを目的に行われました。

そもそもIT人材とは?

IT人材需給に関する調査において対象とするIT人材は、「主に情報サービス業及びインターネット付随サービス業(ITサービスやソフトウェアなどを提供する IT企業)及び、ユーザー企業(ITを活用する一般企業)の情報システム部門などに属するIT人材」と定義されています。

さらに、IT人材の需要に関する試算では、従来からのIT需要に対応する人材を「従来型IT人材」、AIやビッグデータ、IoTなどの先端技術を駆使して生産性の向上などに寄与できる人材を「先端IT人材」として区分しています。

2030年にIT人材が最大約79万人不足する

「IT人材需給に関する調査」では、人材需要の伸び率ごとに低位・中位・高位のシナリオが提示されました。それぞれ、労働生産性の上昇率が最も低く推移した場合の条件において、2030年までに次のようなシナリオが示唆されています。

  • 低位シナリオ:約16万人が不足
  • 中位シナリオ:約45万人が不足
  • 高位シナリオ:約79万人が不足

※参照:IT人材需給に関する調査|みずほ情報総研株式会社

高位シナリオの場合、2030年までに最大約79万人のIT人材が不足するとして、世間から大きな注目を集めました。試算にはITを活用する一般企業も含まれているため、この結果はどの企業にとっても他人事ではありません。

ただし、これはあくまで労働生産性の上昇率が低い場合の試算です。労働生産性が順調に向上していけば、人材不足を軽減できる可能性は十分あります。

IT人材不足に関するよくある勘違い

日本ではIT人材の不足といわれて久しく、多くの企業が危機感を抱いていますが、以下のような勘違いも多いものです。

1.IT知識を持つ人が不足している

「IT人材需給に関する調査」によると、従来型IT人材については、むしろ人材が余ることが示唆されています。

この結果から、問題はIT知識を持つ人が不足しているというよりも、高度なIT知識を持つ人(先端IT人材)が不足していることだと考えられるでしょう。つまり、目下の課題は、IT人材の量ではなく質というわけです。

2.IT業界に就職したがる人が少ない

「IT人材需給に関する調査」によると、IT人材への就職割合は上昇しています。そのため、IT業界に就職を希望する人は増えてはいるものの、それでも需要に供給が追いついていないと考えられるでしょう。

3.IT企業ではないから関係ない

いまや、IT技術はあらゆる業界で取り入れられています。「IT人材需給に関する調査」で対象とするIT人材には、ユーザー企業(ITを活用する一般企業)の情報システム部門に属するIT人材も含まれており、人材不足はIT業界に属する企業だけに関係する話ではありません。非ITの企業においても、IT人材の確保は重要な課題といえます。

IT人材が不足する4つの原因

IT人材が不足する原因としては、次の4つが考えられるでしょう。

高い専門性が求められるため

AIやIoT、ビッグデータの活用、情報セキュリティなど、IT技術の急速な発展に伴い、ITエンジニアには従来よりも一層高度な知識やスキルが求められるようになっています。

「IT人材需給に関する調査」でも、不足が懸念されているのはこうした高度な知識やスキルを持つ先端IT人材です。現状、IT分野を志す人自体は増えてはいるものの、量よりも質の部分で、企業や社会が求める人材は不足していくと考えられます。

実務経験が必要とされるため

小中学校でもプログラミングの授業が必修化され、社会人向けのプログラミングスクールやオンライン講座が続々登場するなど、ITスキルを学べる機会はむしろ増えているといえるでしょう。

しかし、ITの現場では即戦力が求められる傾向があります。即戦力として活躍するためには、ある程度の実務経験が必要です。知識やスキルを学んでいても、即戦力になるとは限らないため、需要と供給のギャップを解消しづらいという現状があります。

IT技術の進化が速いため

IT技術は、日々目覚ましいスピードで進化を続けています。つい最近まで使われていた技術が、次々と新しい技術に置き換わるケースも多いものです。そのため、IT業界で働いている人でも、ニーズや技術トレンドを敏感にキャッチしないと、技術の進化に追いつけなくなってしまう現状があります。このように、変化への対応が容易ではない点も、人材不足に拍車をかけているといえるでしょう。

人材の高齢化

IT人材の高齢化も、人材不足の原因の1つです。IT人材というと若い世代のイメージがありますが、「IT人材需給に関する調査」ではIT人材の年齢分布の推移がまとめられており、これによると50歳以上の割合は2020年の推計で20%以上にもなります。

なかでも55歳以上は2030年以降、順番に定年を迎えていくと考えられますが、昨今の少子化により労働人口の絶対数は減るため、退職者数と就職者数にギャップが生じる可能性があります。

IT人材不足を解消する方法

IT人材の不足を解消するなら、次の4つの方法が有効です。

採用方法や採用対象を見直す

IT人材を補充するなら、SNSの活用など、新しいアプローチで人材を採用することも検討しましょう。採用年齢の引き上げや、外国籍のITエンジニアの採用を視野に入れることもおすすめします。また、アメリカのような「ダイレクトソーシング」や「リファラル採用」を取り入れることも手段の1つです。

IT人材の育成体制を整える

即戦力となるような人材を確保することはなかなか難しいので、「自社で育てる」という姿勢をみせることも重要です。教育体制を整え、未経験採用枠を設けたり、拡充したりするとよいでしょう。

従業員のリスキリングを推進する

従業員の教育や、リスキリングに力を入れるという手段もあります。新たな人材を採用するのではなく、今いる人材をIT人材に育てるという手法です。同時に、非IT部門の従業員に対してもITリテラシー研修を実施するとよいでしょう。

アウトソーシングを活用する

高度IT人材や、即戦力となる人材は転職市場での需要が高いため、なかなか獲得できないケースが多くあります。自社で人材確保が難しい場合は、アウトソーシングを積極的に活用しましょう。アウトソーシングなら、自社に適した人材をスムーズに補充でき、採用・教育にかかるコストを低減できます。また、必要なときに、必要な人材を補充できる点も魅力です。

まとめ

「IT人材需給に関する調査」とは、経済産業省の主導で行われた調査です。2019年に公表された調査結果によると、2030年までに最大約79万人のIT人材が不足するとして、世間から大きな注目を集めました。

なお、同調査では従来型IT人材についてはむしろ余ることが示唆されており、今後の社会ではIT人材の「量」よりも「質」が求められると考えられます。しかし、高度な知識やスキルを持つ人材の確保は容易ではありません。自社での人材確保が難しい場合は、アウトソーシングも視野に入れるとよいでしょう。

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