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精算幅とは時間精算に使用する契約条件|報酬の算出方法やポイントについても解説

清算幅とは、業務委託の報酬を計算する際に使用され、報酬を支払ううえで考慮すべき契約時間の幅のことです。本記事では、業務委託について情報収集している人に向けて、清算幅を使用した報酬の算出方法について解説します。また、報酬を支払う場合にトラブルを避けるためのポイントについても解説するため、ぜひ参考にしてみてください。

目次[非表示]

  1. 1.業務委託の概要
  2. 2.準委任契約では主に稼働時間に応じて報酬を支払う
  3. 3.精算幅|業務委託の報酬を支払う際に使用される基準時間の上限と下限の差
  4. 4.精算幅を設ける目的|営業日数に応じて報酬を支払うため
  5. 5.精算幅を使用した報酬の算出方法
    1. 5.1.上下割
    2. 5.2.中間割
  6. 6.月の途中から業務委託を開始する場合は報酬を日割りで計算することが多い
  7. 7.精算幅を設けずに月額固定で報酬を算出する方法もある
  8. 8.時間精算する際のポイント
    1. 8.1.精算時間の単位や切り捨ての方法を決めておく
    2. 8.2.勤務時間を指定する場合は業務委託契約書に明記する
  9. 9.業務委託における時間精算の違法性|契約の内容や実態によって異なる
  10. 10.業務委託における時間精算が違法となるケース
    1. 10.1.受託者の業務工数や作業時間を把握し委任料を支払う
    2. 10.2.受託者の労働者を指名して時間精算する
  11. 11.まとめ

業務委託の概要

業務委託とは、依頼した仕事の成果物や役務の提供に対して報酬を支払うことを指し、請負・委任・準委任の3種類に分けられます。

それぞれの特徴は、次のとおりです。

  • 請負:請負人は事前に定められた成果の完成、注文者はその成果に対する報酬の支払いをそれぞれ約束する契約方法です。成果が完成されない、成果物に瑕疵があるなどの場合、注文者側には契約を解除する権利があります。
  • 委任:成果物ではなく、業務履行に対して報酬が発生する契約のうち、法律行為に該当するものを指します。具体的な委任契約として、弁護士や税理士への依頼が挙げられます。
  • 準委任:委任契約と同様に、業務履行に対して報酬が発生しますが、法律行為に該当するもの以外を指します。具体的な準委任契約として、コンサルタントやシステム保守などが挙げられます。

どの業務委託契約であっても、企業における効率的な人材確保や人件費の削減が期待できます。

準委任契約では主に稼働時間に応じて報酬を支払う

3種類の契約形態のなかでも、実労働を対価に報酬が支払われる準委任契約の場合、報酬を時間清算するといった特徴があります。

時間清算とは、労働者の稼働に基準時間と基本単価を設け、稼働時間が基準より多ければ報酬を増額し、少なければ減額する方式です。

精算幅|業務委託の報酬を支払う際に使用される基準時間の上限と下限の差

時間清算が採用されている準委任契約において、基準となる稼働時間を決める際は、月140~180時間といった範囲を設けます。

稼働時間の上限と下限の差を清算幅といい、実際の清算幅は想定される作業量やプロジェクトの内容によって異なります。

精算幅を設ける目的|営業日数に応じて報酬を支払うため

準委任契約の稼働時間は、営業日数によっても異なります。とくに、年末年始や大型連休がある月は営業日数が減少し、準委任契約を結んだ相手も稼働時間が短くなることが予想されます。このようなケースでも、清算幅を設けておくことで、営業日数が少ない月の報酬削減が可能です。

精算幅を使用した報酬の算出方法

ここでは、実際に清算幅を使用して報酬を算出する方法について解説します。

上下割

上下割とは、清算幅の下限と上限で基本単価を割る計算方法です。基準時間を月160~200時間、基本単価を50万円として、具体的な計算例を見ていきましょう。

  • 稼働時間が清算幅の上限を超える場合
    超過単価を50万円÷200時間=2,500円として、実稼働時間が210時間だったとします。この場合、超過分報酬=2,500円×10時間=25,000円を、基本単価に加算して、報酬は52万5,000円となります。


  • 稼働時間が清算幅の下限を下回る場合
    控除単価を50万円÷160時間=3,125円として、実稼働時間が150時間だったとします。この場合、控除分報酬=3,125円×10時間=31,250円を、基本単価から引いて、報酬は46万8,750円となります。

中間割

中間割とは、基準時間の中央値を採用して計算する方法です。基準時間を月180~220時間(中央値200時間)、基本単価が50万円として、具体的な計算例を見ていきましょう。

中間割では、基本単価を基準時間の中央値で割った中割単価を使用します。中割単価=50万円÷200時間=2,500円とした場合の計算方法は、次のとおりです。

  • 稼働時間が230時間の場合:中割単価=2,500円×10時間=25,000円を基本単価に加算します。この場合、報酬は52万5,000円となります。
  • 稼働時間が170時間の場合:中割単価=2,500円×10時間=25,000円を基本単価から引きます。この場合、報酬は47万5,000円となります。

月の途中から業務委託を開始する場合は報酬を日割りで計算することが多い

月の途中から稼働してもらう場合、当該月の報酬は日割り計算されることがほとんどです。

たとえば、基準時間が月160~200時間、基本単価が50万円、当該月の営業日が20日、稼働日が5日として計算方法を紹介します。日割り単価は、稼働日を営業日で割った数を基本単価にかけて計算します。50万円×5日÷20日で、12万5,000円となります。

また、清算幅についても、上限と下限それぞれに稼働日を営業日で割った数をかけて計算します。上限=160時間×5日÷20日=40時間、下限=200時間×5日÷20日=50時間です。

当該月の報酬は、基準時間が月40時間~50時間、基本単価が12万5,000円として計算されます。

精算幅を設けずに月額固定で報酬を算出する方法もある

清算幅は、主に営業日数の増減による報酬の変動に対応するために設定されますが、清算幅を設定せずに固定で報酬を支払うケースもあります。報酬固定の場合、稼働時間によらず、月額単価で報酬が支払われます。

時間精算する際のポイント

契約によって報酬を時間清算する際には、いくつかのポイントがあります。ここからは、時間清算する際にトラブルを避けるポイントについて解説します。

精算時間の単位や切り捨ての方法を決めておく

報酬を時間清算する場合には、清算時間の単位や切り捨ての方法などについて事前に決めておきましょう。清算に関するルールを事前に決めておかないと、報酬支払い時のトラブルにつながります。

報酬精算は何円未満切り捨てなのか、清算時間の単位は30分か60分のどちらかなどのように、詳細に取り決めておくことが重要です。

勤務時間を指定する場合は業務委託契約書に明記する

業務の実施において時間を指定する場合は、業務委託契約書に勤務時間について記載しないと、下請法に違反する恐れがあります。罰則を科せられないためにも、勤務時間について業務委託契約書に明記しておきましょう。

業務委託における時間精算の違法性|契約の内容や実態によって異なる

業務委託において、報酬を時間清算によって支払う際は、契約の内容や実態によって偽装請負や事実上の派遣契約とみなされるなど、トラブルが発生するケースがあります。偽装請負や事実上の派遣契約とみなされた場合、労働局による是正勧告や行政処分を受ける恐れもあるため、注意が必要です。

業務委託における時間精算が違法となるケース

ここからは、業務委託における時間清算が違法となるケースについて見ていきましょう。それぞれのケースの特徴を把握しておくことで、後々のトラブルを避けることにつながるため、ぜひ参考にしてみてください。

受託者の業務工数や作業時間を把握し委任料を支払う

受託者の業務工数や作業時間を把握し、それに応じた委任料を支払った場合、労働局に事実上の派遣契約とみなされる恐れがあります。

勤務時間を正確に管理してしまうと、受託者の自由な業務遂行を制約してしまうことになります。

受託者の労働者を指名して時間精算する

業務委託契約において、受託側の労働者を指名した場合、偽装請負とみなされる恐れがあります。このようなケースの場合、労働者派遣法違反となり、懲役または罰金が科せられるため、注意が必要です。

まとめ

清算幅とは、業務委託のなかでも、主に準委任契約において使用されます。稼働時間の上限と下限の差を指しており、事前に設定しておくことで、営業日数が少ない月の報酬削減が可能です。

ただし、清算に関するルールを事前にしっかりと決めておかないと、報酬支払時のトラブルにつながる恐れがあります。また、清算幅を利用して報酬の時間清算を行う際は、契約の内容や実態によって、偽装請負や事実上の派遣契約とみなされるケースもあるため、注意が必要です。

法令違反や業務、報酬に関するトラブルを避けるためには、業務委託に関する知識や実績が豊富な企業を選ぶことも、重要なポイントになります。

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