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職務記述書(ジョブディスクリプション)とは|目的や書き方のサンプルを紹介

近年、国内においても職務記述書を導入する企業が増えてきています。当記事では、職務記述書の概要や書き方のサンプルについて解説します。職務記述書について詳しく知りたい人は参考にしてください。

目次[非表示]

  1. 1.職務記述書(ジョブディスクリプション)とは
  2. 2.職務記述書の目的
    1. 2.1.職務内容を明確にするため
    2. 2.2.評価をしやすくするため
  3. 3.職務記述書が注目されている背景
  4. 4.職務記述書の書き方のサンプル
    1. 4.1.ポジション
    2. 4.2.職務目的
    3. 4.3.職務内容
    4. 4.4.目標
    5. 4.5.予算
    6. 4.6.責任や権限の範囲
    7. 4.7.スキル・経験・必要資格
    8. 4.8.労働条件
    9. 4.9.そのほか
  5. 5.職務記述書を活用するメリット
    1. 5.1.労働の範囲と報酬がわかりやすい
    2. 5.2.スペシャリストを育成しやすい
    3. 5.3.採用がしやすくなる
  6. 6.職務記述書を活用するデメリット
    1. 6.1.柔軟性がなくなる
    2. 6.2.ゼネラリストの育成に向いていない
    3. 6.3.運用が難しい
  7. 7.職務記述書の作成手順
    1. 7.1.求めている人材を明確にする
    2. 7.2.求めているスキルについてヒアリングする
    3. 7.3.内容をまとめて作成する
  8. 8.まとめ


職務記述書(ジョブディスクリプション)とは

職務記述書(ジョブディスクリプション)とは、職務内容や給与・待遇などを詳しく記した書類を指す言葉です。職務記述書は、専門職の採用やジョブ型雇用によく用いられます。

応募者が用意する職務経歴書と混同されがちですが、職務記述は企業側が従業員や応募者に対して用意する書類です。

職務記述書の目的

ここでは、職務記述書の目的について解説します。

職務内容を明確にするため

職務記述書は、職務における適性を明確化することで、採用のミスマッチを防ぐことを目的にしています。あらかじめ従業員に求める事柄を明らかにすれば、自社にふさわしい人材を採用できます。

また、職務記述書を作成することによって、企業と従業員の間で目標や役割のズレが生まれにくくすることも目的の1つです。目標や役割に対する認識を統一させることで、より効率的に業務を進められるようになるため、生産性の向上が期待できます。

評価をしやすくするため

職務記述書の目的の1つは、従業員に対する評価をしやすくすることです。

職務給を採用している職場では年齢やポジションではなく、職務内容で給与が決まります。そのため、職務記述書の作成によって、より公正な人事評価を行えるようになります。従業員の役割や業務内容が定まっていないと、評価が主観的になってしまい、公平な評価が行えません。

職務記述書が注目されている背景

職務記述書の採用は、主に欧米で行われています。

そのなかで日本においても雇用制度について、労働時間や勤務地、職務内容を限定しないメンバーシップ型から、職務や役割で評価するジョブ型への移行が徐々に進んできました。そのため、職務記述書も注目されています。また、外国人労働者の雇用が増えていることも職務記述書が注目されている要因です。

職務記述書の書き方のサンプル

ここでは、職務記述書の書き方について紹介します。

ポジション

職務記述書には、ポジションを記載します。ポジションとは、採用後の社内での立ち位置を示す項目です。書き方の具体例は、下記のとおりです。

【記載例】

  • サーバーサイドエンジニア
  • ネットワークエンジニア
  • 営業部長
  • インサイドセールス リーダー
  • Webディレクター

など

職務目的

職務記述書には、職務の目的を明示する記載を盛り込む必要があります。書き方の具体例は、下記のとおりです。

【記載例】

プロジェクトマネージャーとして、プロジェクト進行の効率化と最適化を図り、プロジェクトを成功に導いてください。チームをリードし、顧客が求めるシステムを提供することで、顧客と自社の事業成長を目指します。

職務内容

職務記述書には、従業員や応募者が自身のスキルや経験を活かせるかを判断できるための職務内容を記載します。書き方の具体例は、下記のとおりです。

【記載例】

  • メール、電話、SNSを通じた顧客からの問い合わせへの対応
  • 電話やメールによる新規顧客へのアプローチ
  • 顧客情報と売上データの管理・分析
  • 製品やサービスに関するマニュアルの定期的な更新
  • 自社の採用業務全般

など

目標

職務記述書には、業務に求められる成果目標とどのように評価するのかを記載します。書き方の具体例は、下記のとおりです。

【記載例】

  • 四半期ごとに設定される売上目標を100%達成する
  • 年間で新規顧客を50件以上獲得する
  • 顧客満足度調査でのスコアを前年比10%向上させる
  • 営業チームの売上成績を前年比15%増加させる

など

半期ごとに、MBO(目標管理制度)を用いて評価を行います。

予算

職務記述書には、職務に関連する予算の範囲や管理方法を記載します。書き方の具体例は、下記のとおりです。

【記載例】

  • マーケティングに関する予算は月額50万円で、毎月報告書を提出する
  • システム運用に関するコストは年間300万円以内

など

責任や権限の範囲

職務記述書には、職務を遂行するにあたって従業員や応募者が担うべき義務の範囲や権限の範囲を記載します。書き方の具体例は、下記のとおりです。

【記載例】

  • プロジェクトの遂行において、規定の職務内容を円滑に遂行する
  • 予算の作成と管理を担当し、予算内でプロジェクトを進行する
  • チームメンバーの育成とフォローアップ

など

スキル・経験・必要資格

職務記述書には、業務を遂行するために必要な能力や経験、資格を記載します。書き方の具体例は、下記のとおりです。

【記載例】

  • 基本情報技術者試験
  • 2年以上の業界経験

など

労働条件

職務記述書には、雇用形態、勤務地、勤務時間など労働条件について記載します。書き方の具体例は、下記のとおりです。

【記載例】

  • 雇用形態:正社員(試用期間3カ月)
  • 勤務地:東京本社またはリモートワーク(週に2日はオフィス出勤)
  • 勤務時間:9:00〜18:00(休憩1時間、フレックスタイム制度あり)
  • 休日・休暇:土日祝日休み、年末年始休暇、有給休暇(入社後6カ月で10日付与)
  • 給与:月給30万円以上(経験・能力に応じて要相談)、年2回の賞与あり
  • そのほかの福利厚生:健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険完備、交通費全額支給、社研修制度

など

そのほか

職務記述書には、チームのミッションや目標、役割について記載します。また、事業内容や沿革、企業理念に触れる場合もあります。書き方の具体例は、下記のとおりです。

【記載例】
チームミッション:顧客のDX推進をリードする
企業情報:2010年に創業。主に顧客のITインフラをさまざまなクラウドサービスやマルチリンガルな点でサポートする

職務記述書を活用するメリット

ここでは、職務記述書を活用するメリットについて解説します。

労働の範囲と報酬がわかりやすい

職務記述書を活用するメリットは、労働者の労働範囲と報酬がわかりやすくなる点です。

労働範囲や報酬、評価基準が明確になっていないと、従業員が不満を持つ恐れがあります。その点、職務記述書を活用すれば、会社と従業員の双方にとってそれぞれの項目がわかりやすくなるでしょう。ひいては、離職率低下にもつながります。

スペシャリストを育成しやすい

職務記述書を活用するメリットは、特定分野におけるスペシャリストを育成しやすくなる点です。
職務記述書は職務内容が明確に決められているため、その分野に関するスペシャリストを育成しやすくなります。メンバーシップ型雇用の場合は職務内容を限定しないため、スペシャリストの育成が難しい傾向です。

採用がしやすくなる

職務記述書を活用するメリットは、採用活動を進めやすくなる点です。
職務記述書は採用基準を明確にするものであるため、どのような人材を求めているのかがわかりやすくなり、採用時の迷いが少なくなります。また、基準が明確であれば、求職者も応募しやすくなるでしょう。

なお、欧米企業や外資系の企業では職務記述書の活用が一般的であるため、外国人労働者の雇用もしやすくなります。

職務記述書を活用するデメリット

ここでは、職務記述書を活用するデメリットについて解説します。

柔軟性がなくなる

職務記述書を活用するデメリットは、企業内において柔軟性がなくなる点です。

職務記述書を導入すると、業務経験を積ませるために従業員の配置転換を定期的に行うジョブローテーションができなくなります。これは、従業員の仕事は職務記述書に記載されている範囲内で行われるためです。

業務の範囲をあいまいにしてしまっては、職務記述書の意味がなくなってしまいます。結果的に、柔軟な人員配置はできなくなるでしょう。

ゼネラリストの育成に向いていない

職務記述書を活用するデメリットは、幅広い知識や多角的な視点を持つゼネラリストの育成が難しくなる点です。

職務記述書では職務の内容が限定されるため、スペシャリストを育成するのには向いていますが、ゼネラリストの採用や育成には向いていません。しかし、経営を進めていくうえでは、ゼネラリストの存在が欠かせないでしょう。ゼネラリストの育成ができない点は、企業にとって大きな課題となります。

運用が難しい

職務記述書は、作成や運用が難しい点もデメリットです。

国内においては比較的新しい概念であるため、作成においては一定の時間を必要とするでしょう。また、運用においては、誰の職務記述書にも記載がない業務が発生してしまったとき、対応があいまいになってしまう恐れがあります。

定期的な見直しも必要であるため、運用には手間がかかる点を押さえておきましょう。

職務記述書の作成手順

ここでは、職務記述書の作成手順について解説します。

求めている人材を明確にする

職務記述書を作成する際には、まず求めている人材の要件を明確にしましょう。

細かいスキルよりも、まず会社全体としてどのような人材を求めているのかを明らかにすることが大切です。これにより、入社後のミスマッチを防げます。

求めているスキルについてヒアリングする

求めている人材の全体像を明確にしたら、求めるスキルを深掘りしましょう。

スキルを深掘りする際は、職務を遂行するにあたって必要となるスキルや経験などを担当者にヒアリングします。具体的には、下記の内容をヒアリングし、落とし込めば求めているスキルが明確になります。

  • 職務内容
  • 職務責任
  • 職務範囲
  • スキル
  • 経験
  • 資格

など

内容をまとめて作成する

必要な情報が集まったら、職務記述書に盛り込む内容を決め、作成を進めていきます。従業員や応募者にわかりにくい難しい内容は避け、わかりやすい内容にすることを心がけましょう。また、作成をした後も、定期的に見直しをすることが大切です。

まとめ

従業員や応募者の役割を明確にし、それぞれの分野におけるスペシャリストを育成したいなら、職務記述書を活用しましょう。導入にあたっては、自社の現状や体制を鑑みて、計画的に取り入れていくことが大切です。

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