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業務支援契約の基本を解説|概要から盛り込むべき内容・項目、注意点まで網羅

業務の外注にあたり、業務支援契約書の情報をお探しでしょうか。業務支援契約では、契約のあり方を正しく理解し、必要な項目を漏らさず記載した契約書の締結が重要です。本記事では、業務支援契約とは何か、また契約書に盛り込む内容や注意点を解説します。適切に業務を外注し、自社の経営効率化のために活用してください。

目次[非表示]

  1. 1.業務支援契約とは
  2. 2.業務支援契約の種類
    1. 2.1.1.請負契約
    2. 2.2.2.委任(準委任)契約
  3. 3.業務支援契約と雇用、派遣との違い
  4. 4.業務支援契約の主な報酬形態
    1. 4.1.毎月、定額の報酬で契約する「定額制」
    2. 4.2.成果に応じて報酬が発生する「成果報酬制」
    3. 4.3.業務1回ごとに報酬が発生する「単発性」
  5. 5.業務支援契約書の作成・締結が重要な理由
  6. 6.業務支援契約に記載すべき内容は、全部で13項目
    1. 6.1.1.委託する業務の内容
    2. 6.2.2.委託料(報酬)
    3. 6.3.3.支払い時期と支払い方法
    4. 6.4.4.成果物の権利委譲(知的財産権)
    5. 6.5.5.再委託の可否
    6. 6.6.6.秘密保持
    7. 6.7.7.反社会的勢力の排除
    8. 6.8.8.禁止事項
    9. 6.9.9.契約解除条件
    10. 6.10.10.損害賠償
    11. 6.11.11.契約が有効な期間
    12. 6.12.12.契約不適合責任
    13. 6.13.13.所轄裁判所
  7. 7.業務支援契約書の締結手順
  8. 8.業務支援契約の注意点
    1. 8.1.業務支援契約は、業務に関する指揮命令はできない
    2. 8.2.業務支援契約書は、できるだけ明確・具体的に記載する
    3. 8.3.情報漏洩に細心の注意を払う
    4. 8.4.下請法への抵触に注意する
    5. 8.5.​​​​​​業務支援契約書への収入印紙貼付と割印
  9. 9.業務支援契約のメリット
  10. 10.業務支援契約のデメリット
  11. 11.ITインフラエンジニアの増員・体制強化ならアイエスエフネットにご相談ください
  12. 12.まとめ

業務支援契約とは

業務支援契約とは、自社の業務を外部の企業や個人に委託する契約です。業務の一部のみを発注する際に使います。発注者側は受注者側に指揮命令権を持たず、雇用関係も存在しないという特徴があります。

業務の外注では、契約書の取り交わしは法律で定められていません。ただ、トラブル回避のためにも、契約書の作成をおすすめします。

業務支援契約の種類

業務支援契約は、2種類に大別できます。請負契約と委任(準委任)契約です。それぞれを解説します。

1.請負契約

請負契約とは、成果物(仕事の完成)に対して報酬を支払う契約形態です。民法632条で定められます。成果物の納品のみが報酬対象であり、受注者側が成果物の完成までにかけた労働時間や業務遂行手段は問われません。

2.委任(準委任)契約

委任(準委任)契約は、業務の遂行に対し報酬が発生する契約形態です。
委任契約(民法643条)の業務は、法律行為を伴います。専門性が高く、国家資格が必要な場合も多々あります。準委任契約(民法656条)の業務は、法律行為を伴いません。

業務支援契約と雇用、派遣との違い

雇用とは、賃金を対価に労働力の提供を受ける形態です。業務支援契約と雇用、派遣の違いは、報酬の支払い対象と雇用関係に注目すると理解できます。下表にまとめました。


業務支援契約
雇用契約
派遣契約
報酬の支払い対象
成果物
提供した労働力
雇用関係
なし
雇用主-労働者
派遣元企業-派遣社員
就労場所
受注者の任意
雇用企業
派遣先企業

業務支援契約の主な報酬形態

報酬の発生段階により、業務支援契約は3種類に分けられます。それぞれを解説します。

毎月、定額の報酬で契約する「定額制」

定額制は毎月一定額の報酬を決め、支払う形態です。長期的・継続的に委託する業務がある場合や、毎月の発注業務に大きな変動がない場合に採用されます。発注コストや収支を管理しやすい点がメリットです。

成果に応じて報酬が発生する「成果報酬制」

成果報酬制とは、完成し受けわたされた業務の成果によって、報酬の有無や報酬額が決まる形態です。委託量が少ない時期の発注コストを抑制でき、支出をコントロールしやすい利点があります。ただし、成果が多いほど支出は増えます。

業務1回ごとに報酬が発生する「単発性」

単発性とは、1回で完結する業務ごとに報酬を支払う形態です。継続的な業務の外注ではなく、単発の発注が多い企業に向いています。成果物に対する支出が明確で、コストコントロールしやすい点がメリットです。

業務支援契約書の作成・締結が重要な理由

業務支援契約は、口頭のやり取りだけでも成立します。民法第522条も、書面を作成しなくてよいと定めています。

ただし、契約内容を書面に明示し、双方合意の結果を残しておくことは大切です。契約書があれば、後々の「言った・言わない」のトラブルや、誤解・認識の齟齬を回避する根拠となってくれます。

業務支援契約に記載すべき内容は、全部で13項目

相手側と取り交わす業務支援契約書に記載しておくべき内容は、13項目あります。各項目の要点を解説します。

1.委託する業務の内容

まず、委託する業務内容を記載します。認識の齟齬が生まれないよう、できる限り細かく、具体的に記述してください。委託業務を書ききれない場合は資料を別添えし、想定外の業務の発生に備えた文言も加えておきます。

2.委託料(報酬)

委託料(報酬)については、以下を記載しましょう。

  • 報酬の単価
  • 支払い条件
  • 報酬の算定方法
  • 経費や税金の取り扱い

経費をどこまで報酬に含めるか、また消費税が内外税のどちらかも忘れずに明記してください。

3.支払い時期と支払い方法

報酬を支払うタイミングや、着手金の有無を記載します。支払いに使う金融機関に条件があれば、合わせて記載してください。報酬支払の方法や、振込手数料はどちらが負担するかも明記しておくとトラブルを防げます。

4.成果物の権利委譲(知的財産権)

知的財産権を有する成果物について、権利の帰属先や権利委譲のタイミングも契約書に明記します。一般的には、成果物の権利は納品とともに、発注者側に譲渡されます。著作権や商標権などが絡む問題のため、不安があれば弁護士に相談しましょう。

5.再委託の可否

再委託とは、発注された業務を、二次・三次と下請けに回すことです。業務にかかわる機密事項や個人情報が漏れやすくなるため、再委託の可否についても契約書に明記します。再委託を可とする場合は、要件と範囲を記載します。

6.秘密保持

秘密保持とは、業務上知り得た情報を第3者に知らせてはならないルールです。社外に自社の業務や情報を提示する外注では、秘密保持に関する条項は記載した方がベターです。機密情報を含む業務の発注では、別途詳細な秘密保持契約を交わすこともあります。

7.反社会的勢力の排除

発注企業のコンプライアンス(法令遵守)のために必要な項目であるため、基本的に記載します。受注者側が、反社会的勢力とは関わりがないことを書面にて確認します。業務支援契約書のテンプレート通りに書けば、問題ありません。

8.禁止事項

その他の禁止事項があれば、詳細に記載します。業務支援契約では、発注者が受注者に業務の遂行方法を具体的に指示できません。あらかじめ契約書で、具体的にしておくことが大切です。

9.契約解除条件

発注者、あるいは受注者の都合により、契約を解除できる場合の条件を明記します。無条件で契約解除できる要件・期間や一般的な解除条件など、項目を分けて記載すると明瞭です。あらゆるトラブルを想定し、考えることが大切です。

10.損害賠償

契約内容の違反や一方的な解除など、問題があった場合の損害賠償責任と補償額を記載します。デリケートな項目となるため、責任の範囲や期間、金額の制限を、双方のすり合わせを経て具体的に明記してください。

11.契約が有効な期間

契約が有効な期間も記載します。有期契約の場合は、契約が継続する期間を記載します。自動更新を前提とする契約の場合は、更新条件・更新方法を記載しましょう。

12.契約不適合責任

契約不適合責任とは、成果物の納品後に見つかった瑕疵(欠陥・ミス)について、受注者が対応の責任を負うことです。契約書には、契約不適合責任の期間も記載しましょう。通常は、1か月程度で設定します。

13.所轄裁判所

トラブルが発生し、訴訟となった場合に裁判を行う裁判所も、業務支援契約書で指定しておきます。双方が裁判所に出向く必要も考えられるため、適正な場所を相談し決めるとよいでしょう。

業務支援契約書の締結手順

業務支援契約書の締結までには、3つのステップを踏みます。

  1. 委託先の検討・決定
  2. 業務内容の協議・決定
  3. 業務支援契約書の作成・締結

委託先は、紹介や公募などで探します。複数の候補が浮上したら、実績の確認・テストの実施を通じて決定します。

業務委託内容の検討と合わせ、報酬や契約条件をすり合わせてください。必要な場合は見積もり書の提出を依頼します。業務委託契約書の取り交わしは、書面か電子契約です。締結した契約書は、10年間の保存が必要となります。

業務支援契約の注意点

業務支援契約を交わす際、知っておくべき注意点を5つ解説します。

業務支援契約は、業務に関する指揮命令はできない

業務支援契約を交わした相手に、発注者が指揮命令をしてはいけません。日常的なコミュニケーションや、業務マニュアルの準備は許容範囲です。ただし、度が過ぎた関わりは偽装請負とみなされるおそれがあります。

業務支援契約書は、できるだけ明確・具体的に記載する

業務支援契約では、受注者は契約書に則って業務を進行します。契約内容が明確でないと、誤った方向に進めたり、クレームになったりする可能性もあります。誤解や齟齬なく、明瞭に理解できるよう、具体的に記載しましょう。

情報漏洩に細心の注意を払う

業務委託先に「社外持ち出し禁止」の情報をわたす展開にならないか、慎重に確認します。実際、委託先からの情報流出が問題になったニュースも、多々見られます。わたす情報に注意すること、また信頼に足る委託先を選ぶことも大切です。

下請法への抵触に注意する

以下の4つの取引は、下請法の対象です。

  • 製造委託
  • 修理委託
  • 情報成果物作成委託
  • 役務提供委託

上記の業務委託では、書面の交付・支払期日の決定・遅延利息の支払などの義務が生じます。知らずに抵触することがないよう、注意しましょう。

​​​​​​業務支援契約書への収入印紙貼付と割印

3か月以上の契約を紙媒体で交わす場合、収入印紙の貼付が必要です。収入印紙の金額は、契約金額によって変わります。電子契約書では、収入印紙は必要ありません。また、特に重要な契約書には割印を押します。

業務支援契約のメリット

自社の業務を、業務支援契約で外注するメリットは、2つあります。まず、業務を必要に応じて専門人材に依頼できることです。社内に専門分野に精通した人材がいなくても、業務支援契約を活用すれば、外部のプロの力を活用できます。さらに、委託した分の報酬だけを支払えばよいため、人件費を節約できる点もメリットです。

業務支援契約のデメリット

業務支援契約にはデメリットもあります。

業務支援契約では、外部の知見を活用します。利便性が高い反面、社内にその分野のノウハウを蓄積できないデメリットが考えられます。さらに、業務支援契約では、業務の遂行方法を具体的に指示命令できません。成果物の品質は受注者の能力に依存せざるを得なくなるでしょう。

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まとめ

業務支援契約は、必要な業務に絞って外部に発注する形態です。発注者と受注者に雇用関係はなく、業務の完了・成果に対して報酬を支払います。ただし、業務の進め方の指揮命令はできません。質の高い成果物を確実に納品してもらうためにも、業務内容をはじめとする諸条件を明記した契約書の取り交わしが重要です。

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