SD-WAN導入のイロハ|導入コストを抑えて社内の悩みを解決!
SD-WAN導入を検討されている方は次のようなお悩みをお持ちだと思います。
『回線の見直しを図りたいが、どこが問題なのかわからない!時間もない!』
『ユーザーから通信が途切れる、遅いなどと言われている。なんとかできないか!?』
『機器がEOL(※)を迎えて更改を迫られているが、コストを抑えられないか? 』SD-WANの導入により、上記の課題解決につなげることが可能です。
詳しくはこちら<SD-WANって実際どうなの? メリットや注意点をみんながわかるように解説!>
しかしながら、SD-WAN導入にむけて、「どういう検証が必要なのか?」「実際の導入はどういう順序で進んでいくのか?」などのイメージが湧かない方もいらっしゃると思います。
今回は、SD-WANを導入するにあたり、導入前にやっておきたいPoC(概念実証)と、導入時に活用するゼロタッチプロビジョニングについて簡潔に解説していきます。
※EOL(End of Life):製品の販売、サポートの終了を意味する。類語にEOS(End of Service),EOSL(End of Service Life)がある。
目次[非表示]
SD-WANとは?
まずはじめに、SD-WAN(Software-Defined WAN)とは、ソフトウェアによって仮想的なネットワークを作る技術のことです。
この技術を用いることで、他拠点にあるネットワークデバイスの管理・運用を一元化することや、品質を落とすことなく、高価な専用線から安価なインターネット回線を利用できるようになります。
詳しくはこちら<デジタルトランスフォーメーション(DX)でICT利活用シーンが増大した今、次世代ネットワーク通信として注目されるSD-WANとは!?(前編)>をご参照願います。
PoC(概念実証)
まず、SD-WANを導入する前にPoC(概念実証)というテストを行います。
PoCとは、アプリケーションやサービスの導入前に、導入後の効果を検証する作業のことです。
PoCは次のようなイメージとなっています。
本格導入前に製品の性能を低コストで確認
たとえば、工場、事務所などの拠点から、本社やデータセンターを経由して、インターネットに出ていくようなネットワークがあるとします。
このようなネットワークでは、朝の出勤時やお昼明けなど通信量が増える時間帯でつながりにくい、遅い、品質が良くないなどといった問題が起きることがあります。
また、Windows Updateや、在宅勤務などのリモートワークの拡大による通信量の増大に対し、コストを抑えながらどう改善していけばよいかなど、頭の痛い問題が出てきます。
PoCで通信内容の可視化や、ローカルブレイクアウト(※)などのテストが行えるため、実際に効果を確かめた上で、導入可否の判断を行えます。
加えて、既存環境に大きな変更を加えずにPoCを行うことができるため、PoC評価の結果、導入を見送ることになったとしても、影響を最小限に元の環境に戻すことも可能です。
※ローカルブレイクアウト:特定の通信を振り分けて各拠点からインターネットにつなぐことを許可し、通信を一か所に集中させないようにする仕組み。インターネットブレイクアウトとも呼ばれる。
SD-WANの導入(ゼロタッチプロビジョニング)
PoCを経て、実際にSD-WANを導入する際、ゼロタッチプロビジョニングと呼ばれる機能を活用します。
ゼロタッチプロビジョニングとは、ネットワーク機器への設定をリモートで行い、現地では電源を入れるだけで利用を開始できる機能です。
通常であれば、IT担当者が現地に出張して機器の設置や設定をすべて行いますが、ゼロタッチプロビジョニングの機能を活用することで、IT担当者は事前設定のみを行い、機器設置は現地にいる従業員の方(ITに明るくない方でも)が簡単に行えます。
一例となりますが、具体的な流れは以下の通りです。
①IT担当者が事前にSD-WANの設定、アクティベーションメールを現地の従業員宛に送信
②SD-WAN機器を現地拠点へ配送する(メーカーから直送のケースもあります)
③現地でSD-WAN機器を受け取る
④開梱し、SD-WAN機器に電源ケーブルを接続し、電源ON
⑤WANポートにインターネット回線を接続し、インターネットへの接続を確認
⑥SD-WAN機器から発出されているSSIDを使用し、パソコンなどのデバイスでWi-Fi接続
⑦IT担当者より送られたアクティベーションメールを開く
⑧メールの中に記載されているURLをクリックし、アクティベーションを実行
(※この手順は一部のSD-WAN製品の例となります)
このように、ネットワークの知識が無い方でも簡単にかつ従来よりも早くセットアップを行えます。
また、これまで発生していたネットワーク設定のための出張がなくなり、お金、時間の両面でコストを削減できるのです。
まとめ
今回ご紹介した、PoCやゼロタッチプロビジョニングについては、昨今のITに対する考え方のトレンドである、いかにお金をかけずに実効性を検証するか、いかにコストを減らして効果を最大化するかという考えにもとづいて発展し続けています。
あらためて、今回ご紹介したものについておさらいします。
PoC
機器を購入して機能評価するのが従来のやり方でした。
PoCとは機器を購入しなくても一時的に機器の性能をフルで使用でき、自社の構成で導入後の効果検証ができる仕組みです。
これにより、効果検証を安価に行うことができるようになりました。
ゼロタッチプロビジョニング
ゼロタッチプロビジョニングとは、機器への設定作業を遠隔で行い、現地での作業を簡略化できる機能です。
この機能により、従来の機器設置のためにエンジニアを派遣して設置・設定を行っていた工程が、現地の従業員の方でも簡単に行うことができるようになります。
これまで発生していたエンジニアの出張コストや設置コストなどを削減可能です。
今回ご紹介してきたPoCやゼロタッチプロビジョニングなどの機能をフル活用し、最適なSD-WAN環境導入につなげて頂ければ幸いです。
■関連記事
・テレワーク下でのストレスの元凶だった通信速度の遅さ。 SD-WANならどのように解決できるのか!?
・人はそう呼ぶ『SD-WAN“以前”“以後”』 どう変わる??社内ネットワーク運用の全体像
・デジタルトランスフォーメーション(DX)でICT利活用シーンが増大した今、次世代ネットワーク通信として注目されるSD-WANとは!?(後編)
※この記事は、公開時点の情報をもとに作成しています。