EDRが変える!次世代のセキュリティ対策
サイバー攻撃の手口は年々巧妙さを増し、企業や個人のセキュリティを脅かしています。
特に、従来のウイルス対策ソフトでは対応しきれない高度な攻撃が増えている中、エンドポイント(※)上でのリアルタイム監視や迅速な対応が求められています。
このような状況下で、注目を集めているのがEDR(Endpoint Detection and Response)(※)です。
EDRは、エンドポイントに対する不審な振る舞いを検知し、迅速に対応することで、攻撃の被害を最小限に抑えることを可能にします。
本記事では、EDRの基本概念やその効果、従来のウイルス対策ソフトとの違いについて詳しく解説します。
また、具体的な導入事例を交えながら、どのようにしてEDRが高度なサイバー攻撃に対抗し、組織全体のセキュリティ強化に寄与しているかをご紹介します。
※エンドポイント:エンドポイント(Endpoint)とは、英語で「終点、端点」などを意味し、IT用語では通信ネットワークに接続された端末や機器
※EDR:ネットワークに接続されたパソコンやスマートフォン、サーバーなどの「エンドポイント(末端)」の機器を監視し、マルウェアなどのサイバー攻撃を検知する仕組み
目次[非表示]
- 1.EDRとは何か?
- 1.1.EDRの基本概念と定義
- 1.2.EDRと従来のウイルス対策ソフト(EPP)との違い
- 1.3.EDRが注目される背景
- 2.EDRの主な機能
- 2.1.エンドポイントでの監視と記録
- 2.2.迅速な初動対応の支援
- 2.3.全エンドポイントの情報の集約と視覚化
- 3.EDRの利点と効果
- 3.1.高度な攻撃や未知の脅威への対応
- 3.2.インシデント対応の効率化
- 3.3.リスクのコントロール
- 4.EDRの導入と実践
- 4.1.導入のポイントと注意点
- 4.2.実際の運用事例
- 4.3.今後の展望と課題
- 5.まとめ
EDRとは何か?
EDRの基本概念と定義
EDRとは、Endpoint Detection and Responseの略で、エンドポイントやデバイス、例えばPCやサーバー、スマートフォンなどのセキュリティを担うソリューションです。
EDRは、不審な振る舞いの検知とそれに対する迅速な対処を行い、サイバー攻撃からの被害を最小限に抑えることを目的としています。
従来の防御型のアプローチに対して、EDRは「検知」と「対応」を重視し、エンドポイントの継続的な監視と記録を行います。
EDRと従来のウイルス対策ソフト(EPP)との違い
従来のウイルス対策ソフト(EPP: Endpoint Protection Platform)は、主に既知のマルウェア(※)やウイルスの検出と感染の予防に焦点を当てていました。
一方で、EDRは既知の攻撃だけでなく、未知の脅威や新しい攻撃手法に対する対応も重視しています。
EDRシステムでは侵入後の不正行為の検知や応答が行われ、多層防御の中で侵入を前提とした「検知」と「対応」を可能にします。
このため、EDRはより高度な攻撃を受けた際の被害を抑えつつ、迅速に脅威を特定する力を持っています。
※マルウェア:コンピューターやその利用者に被害をもたらすことを目的とした、悪意のあるソフトウェア
EDRが注目される背景
サイバー攻撃のトレンドが高度化していることもあり、EDRが注目されています。
近年、ビジネスメール詐欺など、攻撃の手口が複雑化してきており、従来の境界防御(※)だけでは全ての侵入を防ぎきれない状況にあります。
また、テレワークの普及に伴い、社外でのデバイス利用が増え、境界防御の効果が以前より薄れました。
こうした環境の変化から、エンドポイント上でのリアルタイムな監視と異常の迅速な検知・対応が重要な課題として認識され、EDRの重要性が高まっています。
※境界防御:ネットワーク上の外部と社内ネットワークとの境目に壁を作ることで、攻撃をブロックし社内ネットワークの安全性を保つもの
EDRの主な機能
エンドポイントでの監視と記録
EDR(Endpoint Detection and Response)は、エンドポイントと呼ばれる端末、具体的にはPCやサーバー、スマートフォンなどのネットワーク接続デバイスを対象に、常時監視と記録を行います。
この機能により、普段は見逃されがちな不審な挙動や異常なアクティビティをリアルタイムで検知します。
エンドポイントに導入されたエージェントソフトウェア(※)がデータを常時収集し、これをサーバーに送信します。
この仕組みによって、サイバー攻撃の予兆や兆候を早期に把握し、迅速な対策が可能になります。
※エージェントソフトウェア:与えられたルールを基にして、自立的に自分自身の動作を決定できるようなソフトウェア。製品により「センサー」「エージェント」と呼ばれていることもあります。
迅速な初動対応の支援
EDRは、サイバー攻撃が発生した際に迅速かつ適切な初動対応を可能にします。
各エンドポイントのログを分析することで、不審な動きが確認された場合には即座に管理者にアラートを通知します。
この迅速な初動対応は、サイバー被害を最小限に抑える重要なステップです。
たとえ侵入されてしまったとしても、迅速に対応を取ることで被害の拡大を防ぎ、事後対応の労力を大幅に軽減できます。
全エンドポイントの情報の集約と視覚化
EDRの優れた点の一つが、全てのエンドポイントから集められた情報の集約と視覚化です。
これにより、企業内のどの端末で何が起きているか、さらにどのような影響が及んでいるかを一目で把握することが可能になります。
この可視化された情報は、サイバー攻撃の原因を明確にし、どの部分に対して対応策を講じるべきかの判断を助けます。
EDRの情報集約と視覚化を活用することで、効率的なセキュリティ管理が実現し、インシデント対応の迅速化を後押しします。
EDRの利点と効果
高度な攻撃や未知の脅威への対応
EDR(Endpoint Detection and Response)は、サイバー攻撃が年々高度化する中で重要性を増しています。
不審な振る舞いの検知と対応を行うことで、高度な攻撃や未知の脅威に迅速に対処することができます。
従来のセキュリティ対策では防ぎきれない複雑なビジネスメール詐欺(※)や、「Living Off The Land(※)」のような攻撃にも対応できる点が、EDRの魅力の一つです。
また、1年間で生まれる新種・亜種のマルウェアが約14億個にも及ぶ中で、その即時検知力が求められています。
※ビジネスメール詐欺:取引先企業や自社の経営陣になりすまして偽のビジネスメールを送信し、詐欺行為を行うサイバー攻撃
※Living Off The Land:対象システムで既に使用されている正規のソフトウェアやシステムユーティリティ、管理ツール、スクリプト言語(例:PowerShell、Bash)などを悪用して情報窃取や権限昇格などを目的とした行為を行うサイバー攻撃の一種
インシデント対応の効率化
EDRの導入により、インシデント対応が効率化されます。
各エンドポイントをリアルタイムで監視し、不審な挙動を即座に管理者に通知することが可能だからです。
これにより、攻撃が発生した際の初動対応が迅速になり、被害を最小限に抑えることができます。
また、EDRは攻撃の発生状況や影響範囲を視覚化し、攻撃原因を特定することにも役立つため、事後のセキュリティ報告や対策の改善もスムーズになります。
リスクのコントロール
EDRを活用することで、組織のセキュリティリスクを適切にコントロールすることが可能です。
すべてのエンドポイントからのデータを集約し分析することで、潜在的な脅威を先取りし対策を講じることができます。
特に、テレワーク環境の普及により増加した外部からのアクセスに対しては、境界防御が難しくなっているため、EDRのような内部での検知・対応がますます重要視されています。EDRはリスクの全体像を明らかにし、適切なセキュリティポリシー(※)の策定を支援します。
※セキュリティポリシー:企業や組織において実施する情報セキュリティ対策の方針や行動指針のこと
EDRの導入と実践
導入のポイントと注意点
EDRを導入する際には、まず組織全体のセキュリティポリシーを明確にし、それに基づいて適切なEDRソリューションを選定することが重要です。
導入に際しては、従業員の教育や訓練を通じて新しいシステムに対する理解を深めることが求められます。
従業員教育や訓練の内容には、単にIT担当がシステムの使い方を学ぶだけでなく、社内のさまざまな部門の従業員が、業務に適したセキュリティ対策やシステム活用方法を理解するための指導も含まれます。
特に、EDRなどの新しいセキュリティシステムの導入時には、IT担当だけでなく、全従業員がその重要性を理解し適切に運用することが求められます。
なぜなら、全従業員が扱うネットワークに接続されたパソコンやスマートフォン、サーバーなどの「エンドポイント(末端)」機器がセキュリティの対象となるためです。
EDRは、エンドポイントでの不審な活動を検知して対応するため、リアルタイムでの監視が不可欠です。
このため、エンドポイントごとに適切なエージェントを設置し、ネットワーク全体の可視化を実現する必要があります。
また、EDRの効果を最大化するには、他のセキュリティソリューションとの連携も考慮に入れ、組織全体のセキュリティ体制を強化することが重要です。
実際の運用事例
EDRの導入事例として、海外展開している企業においては、ビジネスが複数の国や地域にまたがるため、セキュリティニーズも地域ごとに異なることが一般的です。
それに応じた設定を行い、リスクを最小限に抑える運用を実践しています。
たとえば、各国におけるサイバーセキュリティやデータ保護に関する法規制(例:中国のサイバーセキュリティ法など)は国によって異なるため、それぞれのオフィスや事業拠点が地域ごとの規制に対応する必要があります。
このため、特定の部署ごとに異なるセキュリティ設定が求められるケースも増えています。
また、各部門ごとに異なる業務プロセスやデータを扱うため、リスクも異なり、それに応じた対策をEDRで強化することが重要です。
このように、地域や部署ごとに異なるセキュリティニーズに対応することが、海外展開している企業でのセキュリティ運用に求められる実践的なアプローチの一例です。
また、EDRを用いて日常的に通信ログを解析し、未知の脅威や高度なサイバー攻撃を早期に察知することに成功した企業もあります。
このような実運用例に見るように、EDRは単なるツールとしてではなく、組織のセキュリティ戦略全体の一部として捉え、システムの更新や改善を継続的に行うことが重要です。
結果として、企業はすばやく脅威の検知・対応ができ、被害を最小限に留めることが可能となっています。
今後の展望と課題
EDR技術は進化を続け、AIや機械学習を活用した脅威の自動検出や、高度な分析機能を備えた次世代のセキュリティ対策が期待されています。
こうした技術の進化に伴い、EDRはさらに効果的なセキュリティソリューションとして位置づけられるでしょう。
しかし一方で、導入コストや人材育成、適切な運用体制の構築といった課題も残されています。
特に中小企業にとっては、予算面やスキル面での課題をどう克服するかが鍵となります。
今後は、EDRがより幅広く普及するための解決策やサポート体制の強化が求められるでしょう。
こうしてEDRは、新たな脅威に対抗し続けるための重要な要素として活用されることが期待されています。
まとめ
本記事では、EDR(Endpoint Detection and Response)の基本概念から、その機能、従来のウイルス対策ソフトとの違い、そして注目される背景について解説しました。
EDRは、エンドポイントでの不審な挙動を常時監視し、迅速な初動対応を可能にすることで、高度なサイバー攻撃や未知の脅威に対抗するための重要なツールです。
また、リアルタイムな監視や異常の視覚化を通じて、インシデント対応の効率化やリスクコントロールにも大きく貢献します。
従来の「境界防御」から「エンドポイント防御」へとセキュリティのアプローチが変化する中で、EDRは企業のセキュリティ強化に欠かせない存在となっています。
EDRの導入は有効ですが、効果を最大限に発揮するには専門的な知識や運用のリソースが求められます。
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