業務委託契約における成果物の取り扱いとは?契約の種類ごとの違いや注意点を解説
業務委託契約を結ぶ際、発注者としては受託者に成果物の納品を義務化できるのか気になるところでしょう。本記事では、業務委託における成果物の取り扱いについて詳しく解説します。業務委託契約の種類による違いも紹介するため、業務の外注を検討中の企業はぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.業務委託契約とは?
- 2.業務委託契約の種類による違い
- 3.請負契約のメリット・デメリット
- 4.準委任契約のメリット・デメリット
- 5.請負契約と準委任契約はどちらがおすすめ?
- 5.1.成果物が明確な場合:請負契約
- 5.2.成果物が明確でない場合:準委任契約
- 6.業務委託契約を結ぶ流れ
- 6.1.1.委託先を選ぶ
- 6.2.2.契約内容について話し合う
- 6.3.3.契約書の作成
- 7.業務委託契約の成果物について注意すべきポイント
- 8.業務委託契約を結ぶときは「偽装請負」に注意
- 8.1.偽装請負とは
- 8.2.偽装請負を回避するために注意すべきポイント
- 9.IT業務を外注するなら人材派遣サービスもおすすめ
- 9.1.人材派遣サービスとは
- 9.2.人材派遣サービスを活用するメリット
- 10.まとめ
業務委託契約とは?
業務委託とは、業務の一部またはすべてを外部に依頼することです。その際に交わされる契約を業務委託契約と呼びます。
業務委託契約は、自社にリソースやノウハウが不足している場合や、品質向上を目的として活用されることが多い契約形態です。委託先は、企業だけでなくフリーランスや個人事業主の場合もあります。
業務委託契約における成果物の取り扱い
実は、法律上「業務委託契約」という名前の契約はありません。一般的に業務委託契約とされる契約には、いくつかの種類があります。
また、業務委託契約の法的な性質は、契約の種類により異なり、「成果物の完成責任」の観点でも違いがあります。よって、業務委託契約における成果物の取り扱いは、契約の種類によって異なるといえるでしょう。
業務委託契約の種類による違い
業務委託契約は、「請負契約」「委任契約」「準委任契約」の3種類に分けられます。ここからは、それぞれの違いについて、成果物の完成責任という観点も含めて解説します。
請負契約
請負契約とは、受託者が納品した成果物に対して報酬を支払う契約形態です。請負契約では、受託者に対して成果物の完成責任を課せられます。成果物が完成しなかった場合や、契約書に規定した条件を満たさなかった場合には、契約不適合責任を問うことが可能です。
委任契約
委任契約とは、弁護士や税理士などが行う法律行為を対象とした契約形態です。成果物の完成責任はなく、成果物ではなく業務の遂行に対して報酬を支払います。
準委任契約
準委任契約とは、法律行為以外の業務について、業務の遂行に対して報酬を支払う契約形態です。基本的な内容は委任契約と同じで、受託者には成果物の完成責任がありません。
ただし、準委任契約には「履行割合型」と「成果完成型」の2種類があります。成果完成型は、その名のとおり成果物の納品によって報酬を支払います。
履行割合型 |
業務の遂行に対して報酬を支払う |
成果完成型 |
成果物に対して報酬を支払う |
成果完成型は一見すると請負契約と同じように思えますが、請負契約のような成果物の完成義務はない点に注意しましょう。
請負契約のメリット・デメリット
IT業務の委託では、請負契約または準委任契約のいずれかが選択されます。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自社に適した契約形態を選びましょう。
メリット
請負契約では、成果物完成までのプロセスを一任できます。そのため、発注者側は管理の手間がかからず、マネジメントコストを抑えられる点がメリットといえるでしょう。また、業務にかかった工数や時間で報酬が変わることもないため、事前の取り決め以上にコストがかかる可能性が低いことも請負契約の特徴です。
デメリット
請負契約では成果物を明確にして契約を結ぶため、発注後の成果物の変更は困難です。また、契約後は基本的に納品を待つことになるので、完成までの具体的なプロセスが見えづらく、自社にノウハウが蓄積されないというデメリットもあります。
準委任契約のメリット・デメリット
続いて、準委任契約のメリット・デメリットを解説します。
メリット
準委任契約は、請負契約と比べて柔軟性が高い点がメリットです。業務の遂行を目的とするため、作業を細かく指定しないことが多く、依頼内容に変更がある場合も柔軟に対応してもらえます。
デメリット
準委任契約では、受託者に成果物の完成義務がなく、期日までに成果物が完成しないリスクもゼロではありません。また、希望した成果物を得られなかった場合であっても、発注者は報酬を支払う必要があります。
さらに、発注者と受託者がコミュニケーションをとり、仕様の決定や進捗管理にも携わる必要があるため、請負契約と比べてマネジメントにリソースを割かれやすい点もデメリットです。
請負契約と準委任契約はどちらがおすすめ?
請負契約と準委任契約の特徴やメリット・デメリットをふまえたうえで、それぞれの契約形態に適したケースを解説します。
成果物が明確な場合:請負契約
成果物が明確な場合や、納期が決まっている場合は請負契約がおすすめです。受託者に成果物の完成義務があるので、「期日までに成果物を受け取る」という点において確実性を高められます。
成果物が明確でない場合:準委任契約
成果物が明確でない場合や、依頼内容を変更する可能性がある場合は準委任契約がおすすめです。成果物に対する柔軟性が高く、品質アップのためによりよい方法を選択してもらえます。
業務委託契約を結ぶ流れ
ここからは、業務委託契約を結ぶ流れを解説します。基本的な流れは、以下のとおりです。
1.委託先を選ぶ
まずは、業務を委託したい企業または個人を選定するところから始めましょう。募集のやり方としては、自社サイトで募集する、クラウドソーシングを使うなどの方法が考えられます。
2.契約内容について話し合う
委託先が決まったら、契約内容について話し合います。トラブルを回避するために、十分な擦り合わせを行うことが大切です。
成果物についてはもちろん、報酬と支払い方法、進捗管理方法、連絡方法などを細かく定めておきましょう。契約内容が定まったら、受託者に見積書を提出してもらいます。
3.契約書の作成
見積書を確認したら、契約書を作成します。業務委託契約は口頭でも成立しますが、トラブル防止の観点から契約書は作成すべきです。双方が内容を確認し、問題がなければ契約成立となります。
業務委託契約の成果物について注意すべきポイント
業務委託契約の成果物については、次の3つのポイントに注意するとよいでしょう。
- 成果物の定義
- 成果物の納入・検収
- 成果物の権利
それぞれのポイントについて、以下で詳しく解説します。
成果物の定義
請負契約では、成果物に求められる機能の定義を明確にする必要があります。仕様書を作成するといった方法で、認識の齟齬が生じないようにしましょう。なお、準委任契約で成果物がない場合も、業務内容を明確にすることは重要です。
成果物の納入・検収
成果物の納期や納入場所など、納入についてのルールも決めましょう。委託側が成果物を検収する際の規定も定めておくと安心です。
成果物の権利
成果物の権利、なかでも知的財産権の帰属をめぐっては、委託側と受託側でトラブルが起きる可能性が考えられます。
基本的には、受託側が作成した成果物や知的財産権を委託側に帰属させる形にするとよいでしょう。ただし、場合によっては受託者に留保するものもあるため、十分に協議しておく必要があります。
業務委託契約を結ぶときは「偽装請負」に注意
業務委託契約を結ぶ際は、偽装請負とみなされないよう注意が必要です。
偽装請負とは
偽装請負とは、契約上は業務委託であるにもかかわらず、実際には労働者派遣のように人材を使用することです。
労働者派遣とは異なり、業務委託契約では労働者への直接指示は認められていません。人材に直接指示をしたい場合は、労働者派遣契約を結ぶ必要があります。労働者派遣契約を結ばず、あたかも業務委託かのように偽装することを偽装請負といいます。偽装請負は、明確な違法行為です。法的な罰則が科される恐れがあります。
偽装請負を回避するために注意すべきポイント
偽装請負を回避するためには、偽装請負に対する正しい理解と周知が必要です。偽装請負の概要やリスクを社内に周知するとともに、現場の実態を定期的に調査しましょう。
また、契約を結ぶ際には、契約書に「委託者には直接指示が認められないこと」を明記し、第三者から見ても業務委託であることを明らかにすることが重要です。
IT業務を外注するなら人材派遣サービスもおすすめ
自社のIT人材が不足している場合は、人材派遣サービスの活用もおすすめです。
ここからは、人材派遣サービスの基本的な仕組みやメリットを解説します。
人材派遣サービスとは
人材派遣サービスとは、人材派遣会社から、求めるスキルや経験などを持つ人材を派遣してもらうサービスのことです。
人材の直接的な雇用主は人材派遣会社ですが、雇用している従業員と同じように自社の事業所内で働いてもらうことが可能です。人材派遣会社と労働者派遣契約を結ぶことで、自社に適した人材を派遣してもらえます。
人材派遣サービスを活用するメリット
業務委託契約とは異なり、労働者派遣契約では派遣先の企業に指揮命令権があります。派遣スタッフへの直接指示が認められているため、自社の従業員と同じように、業務のやり方や進め方などを柔軟に指示することが可能です。
まとめ
業務委託契約は、契約の種類によって成果物の取り扱いが異なります。成果物や期限が明確な場合は、成果物の完成義務を課すことができる請負契約を結ぶとよいでしょう。一方、準委任契約には、成果物の完成義務はないものの、依頼内容を柔軟に変更できるというメリットがあります。
また、労働者に業務のやり方などを直接指示したい場合は、人材派遣サービスもおすすめです。それぞれのメリット・デメリットを把握し、自社に適した契約形態を選びましょう。
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