【2023年版】ITILファンデーションとは?情シス1年目に取得してほしい資格!試験概要や勉強法をまるっとご紹介!
『新年になったし、何か資格をとりたいなー』
『CCNAの参考書を買ってみたけど・・・まだ経験が浅いから難しいよ!!もう少し簡単な資格は無いかな?』
このようなお悩みは無いでしょうか?
そんな情シス1年目の方が取るべき資格としてオススメなのが、ITILファンデーションです。
ITILファンデーションはシステム運用管理者のための資格で、ITサービスマネジメント及びITILの基礎知識を理解していることを証明する資格です。
今回は、ITILとは何なのか?ITILファンデーションとはどのような資格なのか?
その受験方法や勉強法まで解説していきます。
目次[非表示]
- 1.そもそも「ITIL」って何?
- 2.ITILファンデーションってどんな資格?
- 2.1.ITIL V3 と ITIL4 どちらを受験すべき?
- 2.2.ITIL V3
- 2.3.ITIL4
- 2.4.試験概要
- 2.5.勉強方法
- 3.情シスメンバーがITILファンデーションを取得する意義
- 4.まとめ
そもそも「ITIL」って何?
ITILとは、イギリスの政府機関がITサービスマネジメントのベストプラクティス(成功事例)をまとめた書籍群のことです。
「Infomation Technology Infrastrcuture Library」の頭文字をとり、「アイティル」と読みます。
書籍群と聞くと、マニュアルや報告書をイメージするかもしれませんが、実際にはITサービスマネジメントの考え方を整理したものになります。
ITサービスマネジメント(略称 ITSM)とは、自社の社員や顧客など、ITサービスの利用者が問題無く快適に利用できるよう、利用者目線に立って継続的に改善していく活動全般のことです。
例えば、どんなに高度な技術を用いたITサービスであっても、利用者にとって使い方が複雑で快適に利用できないサービスでは、利用者に満足してもらえず、かえってクレームになる可能性があります。
また、企業ではさまざまな部署で、ITリテラシーもさまざまな人がITサービスを利用しますが
すべての利用者が快適に利用できなければ、業務に支障をきたす可能性があり、業務効率化の低下を招きかねません。
そういった状況を防ぐために実施するのが、ITサービスマネジメントです。
情報システム部門では利用者目線に立って、顕在化している問題があれば改善すべく速やかに取り組み、今後発生しうる問題の抽出や対応策も考えていく必要があります。
これらの活動を継続的に行うことをITサービスマネジメントと言い、その成功事例をまとめたものが「ITIL」です。
ITILファンデーションってどんな資格?
ITILファンデーションは、ITサービスマネジメント及びITILに関する基礎知識を保有していることを証明する、世界共通の認定資格です。
ファンデーションという名の通り、ITサービスマネジメント及びITILについての基礎的な知識を幅広く問われます。
そのため、難易度はきちんと勉強すれば充分合格できるレベルです。
合格率は公表されていませんが、約50%と言われています。
ITIL認定資格は5つのグレードに分類されています。
難易度 |
資格名 |
5 |
マスター |
4 |
エキスパート |
3 |
インターミディエイト |
2 |
プラクティショナ |
1 |
ファンデーション |
ITIL試験を受験するには、下位級の試験合格のほかに受験級の認定資格プログラムを受講修了することが要件になっていますが、最初のステップとなる「ファンデーション」は誰でも受験することができます。
ITIL V3 と ITIL4 どちらを受験すべき?
一点、勉強を始める前に気を付けていただきたいのが、現在、ITILファンデーションは「ITIL® Foundation Version 3(以降ITIL V3)」と「ITIL® Foundation Version 4(以降ITIL4)」の2つのバージョンから選んで受験ができるということです。
ITILは1989年に初版が刊行され、何度かの改訂が繰り返されています。
2007年に刊行され2011年の修正を経たのが「ITIL V3 / 2011」であり、その後2019年に刊行されたITILの最新バージョンが「ITIL4」になります。
ITIL V3とITIL4は基本概念が大きく違うため「どうせ受験するなら、最新のITIL4の方がいいよね!」と安易に判断するのは危険です。
では、情シス1年目の初心者の方はITIL V3とITIL4ではどちらを受験するのがよいのでしょうか。
結論から言うと、情シス1年目の初心者の方はITIL V3の受験をおすすめします。
以下では、ITIL V3とITIL4の違いについて解説します。
ITIL V3
ITIL V3では、ITサービスのライフサイクルが「サービスストラテジー」「サービスデザイン」「サービストランジション」「サービスオペレーション」「継続的サービス改善」の5つのフェーズに
分類され、それぞれでやるべき「プロセス(工程)」が決められています。
5つのフェーズの詳細は下記の通りです。
サービスストラテジー |
どのようなITサービスを提供し、利用者にどのような価値を与えるのか 事業目標を達成するため、ITサービス戦略を立案する |
サービスデザイン |
ITサービスの新規構築・既存サービスの変更を含め、 サービスストラテジーの決定に従ってITサービスを設計・変更していく |
サービストランジション |
新規のITサービス提供や、既存サービスから新規サービスへ移行させる |
サービスオペレーション |
サービスデザインで決定したサービスレベルに従い |
継続的サービス改善 |
ここまでのすべての段階を俯瞰し、PDCAサイクル化でITサービスを |
フェーズごとに「プロセス」が明確になっており、プロセスを用いて改善していくというアプローチが特徴です。
日本でもっとも浸透しているのは「ITIL V3」であるため、情シス1年目の方はまずこのサービスライフサイクルを抑えることが重要です。
ITIL4
一方でITIL4は、ITIL V3で根幹を成していた「サービスライフサイクル」の概念に代わり
「サービスバリューシステム(SVS)」という新しい概念が登場しています。
SVSとは、「指針となる原則」「ガバナンス」「サービスバリューチェーン(CVC)」「プラクティス」「継続的な改善」という5つのコンポーネント(構成要素)が、ひとつのエコシステム(協調関係)
として機能することで、ITサービスの価値を創造するという考え方のことです。
このSVSの中でITサービスに直接的に関連する要素が「サービスバリューチェーン(SVC)」です。
SVCは、「エンゲージ」「計画」「デザイン&トランジション」「オブテイン&ビルド」
「デリバリー&サポート」「改善」という6つの「プラクティス(活動)」を経て
プロダクト&サービスという形で利用者に「価値」を提供します。
ITIL V3では5つのフェーズにおいてやるべき「プロセス」が決められていましたが、
その「プロセス」という概念も「プラクティス」に変化しています。
ITIL4は、ITIL V3の「プロセスアプローチによるITサービス」を理解した上で、より事業戦略のような上流視点にも踏み込んだ内容となっているため、ITサービスマネジメントについての理解が
まだ未熟なIT初心者の方はITIL V3試験を受験した方がよいでしょう。
試験概要
ITILファンデーションの試験概要は以下表の通りです。
資格試験料 |
プロメトリックを利用する場合 ・ITIL® Foundation Version 3 52,210円(税抜) ・ITIL® Foundation Version 4 61,630円(税抜) ※試験実施機関により異なる |
試験実施日 |
随時 |
身分証明書 |
2種類必要 |
資格受験方式 |
CBT方式(コンピューターを利用した試験) |
出題形式 |
四肢択一 |
資格受験時間 |
60分 |
試験問題数 |
40問(多肢選択) |
合格ライン |
26問(正答率65%) |
合格発表 |
試験終了後、即時 |
資格有効期間 |
取得から3年間※2023年1月より変更 |
試験の内容としては、ベンダー資格で有名なCCNAのようにコマンドを打つ必要もないため、IT初心者でも挑戦しやすい資格と言えます。
ここでお伝えしたい最新情報として、ITILファンデーションは今まで資格の有効期限がありませんでしたが、2023年1月より有効期限付きになりました。
ITILファンデーションの資格を維持するには、再度ITILファンデーションの試験を受験し合格するか、プラクティショナなどの上位資格に合格する必要があります。
勉強方法
ITIL V3試験に合格するだけであれば、通称「黄色本」と呼ばれる参考書を読んで対策すれば十分合格可能です。
IT Service Management教科書 ITIL ファンデーション シラバス2011 (EXAMPRESS) 2013/12/17発売 株式会社日立ソリューションズ 笹森 俊裕 (著), 満川 一彦 (著)
わかりやすい解説に加え、各項目の後に確認問題約120問収録されているため、項目ごとに理解度をチェックしながら進めることができます。
また巻末に模擬試験2回分も収録されているため、最終チェックも可能です。
また、こちらの黄色本はITIL4ファンデーション版も発売されています。
IT Service Management教科書 ITIL 4ファンデーション 2022/10/5発売 株式会社 日立ソリューションズ (著), 笹森 俊裕 (著), 満川 一彦 (著)
なお、演習問題を数多く解いて対策したいという方には、「Ping-t」という学習サイトを併用することをおすすめします。
Ping-tに会員登録すると、ITIL V3のみではありますが、ITILファンデーション試験対応の問題集を無料で利用することができます。
現状318問の問題をWEB上で解くことができるため、スキマ時間を活用して試験対策ができます。
情シスメンバーがITILファンデーションを取得する意義
ここまで、ITILファンデーションの概要について解説しましたが
「難易度はそんなに高くなさそうだけど、そもそも取得するメリットあるのかな?」
と思われた方もいらっしゃるでしょう。
情シスメンバーがITILファンデーションを取得する意義は、「情シスのメイン業務である
ITサービスの維持管理(ITサービスマネジメント)の基礎を身に着けていることを証明する資格として最も取得しやすい」ことにあるといえます。
情シスとして抑えるべきITサービスマネジメント関連資格には、ITILファンデーションの他に、情報処理試験のサービスマネージャ(旧:運用管理)という資格もありますが、これは高度情報処理技術者資格であるため、非常に難関な試験となっています。
とくに情シス1年目の方は、ITサービスマネジメントの基本的な知識から学ぶことがおすすめですので、入門資格であるITILファンデーションは最適です。
他にもITサービスマネジメント関連資格には、ベンダー資格もありますが、これは特定のベンダーの技術に関する資格のため、活用できる範囲が限られてしまいます。
その中でもITILファンデーションは、最も取得しやすい公的資格です。
ITILファンデーションは、ベンダーフリーかつ汎用性の高い資格であり、初心者でもしっかり勉強すれば合格できるため、情シス1年目の基礎知識として、取得を目指すべき資格と言えるでしょう。
実際に、情報システム部の取得するべき資格として、企業が資格取得を推奨しているケースも多いです。
また、ITILは成功したITサービスマネジメントの書籍群のため、ITILファンデーションを学び実践することで、サービス運用を論理的に行えるようになり、より安定性の高い運用が可能となります。
情シスに求められる、ITサービスのユーザー満足度の向上や、システム運用の改善と効率化に繋がる内容を学ぶことができるため、会社から評価されるIT人材となるためにも、ITILファンデーション取得は情シスメンバーであれば全員が目指すべきものと言えるでしょう。
まとめ
今回、ITILとはITサービスマネジメントの成功事例をまとめたものであり、ITILファンデーションは情シス1年目の基礎知識として、取得を目指すべき資格だと解説してきました。
ITILファンデーションの試験としては
・ITIL資格の中でも基礎資格であり、参考書を読んで対策すれば十分合格可能なレベル
・ITIL V3とITIL4があり、情シス1年目の初心者はITIL V3の取得がオススメ
・2023年1月より、3年間の有効期限がついた
といった特徴があります。
情シスの最重要ミッションである、ITサービスの安定稼働の助けになる知識を習得できる資格であるため、本記事の内容を踏まえ、ぜひ勉強をはじめてみてください。
もし、ITサービスマネジメントを理解したエンジニアを採用したいと思われる方は
こちらまでご相談ください。
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※この記事は、公開時点の情報をもとに作成しています。