ヘルプデスクとは?設置するメリットと必要なスキル、資格について解説!
テレワークやクラウドの業務利用が当たり前となった昨今、社員から社内システムやPC周りについての問合せが増えてきた企業も多いのではないでしょうか。
実際、「問合せ対応に追われて通常業務の時間がとれなくなってきた」といった情報システム部の方のお悩みもよく耳にします。
そのような時に検討したいのがヘルプデスクチームの設置です。
「先日交換してもらったPCでわからないことがある……」
「社内システムをいつも通りに使っていたけれど、急にエラーが出て進めなくなった!」
このようなシステムに関する問合せやシステムに障害が発生した場合に、迅速に対応し原因をつきとめ解決していくのがヘルプデスクの主な仕事です。
ヘルプデスクを設置することで問合せ対応を一元化でき、情報システム部としてのコア業務へ集中できるなど、さまざまなメリットがあります。
本記事ではヘルプデスクの一般的な仕事内容や、他業種との違い、求められるスキルや資格を解説します。
目次[非表示]
- 1.ヘルプデスクとは
- 2.ヘルプデスクチームを設置するメリット
- 2.1.従業員満足度の向上につながる
- 2.2.システムに対する社員の声を拾い上げやすい
- 2.3.情報システム部がコア業務へ集中できる
- 3.ヘルプデスクの業務内容
- 4.ヘルプデスクと他職種との違い
- 4.1.社内SEとの違い
- 4.2.コールセンターとの違い
- 5.ヘルプデスクに求められるスキル
- 5.1.コミュニケーションスキル
- 5.2.製品やサービスの知識
- 5.3.トラブル対応力
- 5.4.語学力
- 6.ヘルプデスクメンバーにおすすめの資格
- 7.まとめ
ヘルプデスクとは
ヘルプデスクとは、社員に提供しているIT製品やシステムに関する技術的な問い合わせや、トラブルなどに対応する仕事のことです。
社内で利用しているシステムやアプリケーションの使い方、トラブル発生時の対処方法などの問い合わせに対し、電話やメール、チャットなどで適切に答え、問題解決を行うことがメインミッションです。
社内の問い合わせ対応をアウトソーシングしていない限り、情報システム部門の皆さまがこういった対応を行っていらっしゃると思いますので、イメージしやすいと思います。
しかし、情報システム部門の皆さまは、他にも多くの業務を抱えていることがほとんどな上、少人数であることが珍しくなく、こういった問い合わせ対応を煩わしく思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
その問題の解決策がヘルプデスクチームの設置です。
ヘルプデスクチームを設置するメリット
企業がヘルプデスク専門のチームを配置するメリットとして、次の3点が挙げられます。
- 従業員満足度の向上につながる
- システムに対する社員の声を拾い上げやすい
- 情報システム部がコア業務へ集中できる
従業員満足度の向上につながる
問い合わせ対応に特化したヘルプデスクを設置することで、迅速な対応が可能となります。
また、専任者が常時対応することで、問合せを行った社員が端末やアプリケーションを利用できない時間を最小限に留めることができ、従業員の不満を軽減できます。
さらに、問い合わせ内容を一箇所に集約することで、過去の問い合わせと対応履歴を蓄積できるようになるため、問題解決がスムーズになります。
素早い問合せ対応と問題解決は、従業員満足度の向上に大きく貢献するでしょう。
システムに対する社員の声を拾い上げやすい
ヘルプデスクに寄せられた疑問やクレームは、社員がシステムに対して感じた生の声です。
ヘルプデスクから拾い上げた不満や要望は、今後のシステム改善や運用改善に役立てることができます。
通常、社員の声を集めるためには、アンケートを実施するなど別途コストをかける必要がありますが、ヘルプデスクを配置することで、課題解決と並行して意見や要望を吸い上げることができるため、アンケートを実施する工数やコスト削減につながります。
情報システム部がコア業務へ集中できる
問合せ対応は突発的に発生することが多く、件数も増えるほど業務時間を圧迫する可能性があります。
問合せ対応専門の部隊をヘルプデスクとして設置することで、情報システム部門のメンバーがほかに行うべきコア業務に集中することができるようになります。
ヘルプデスクの業務内容
ヘルプデスクは「サポートする対象者」によって、社内ヘルプデスクと社外ヘルプデスクの2つの種類に分けられます。
社内ヘルプデスク
社内ヘルプデスクの主な業務は、社内の情報システム部に所属し、社員からのシステムに関する問い合わせに対応することです。
社内システムの操作方法やOfficeソフトの使い方など、社員から寄せられるさまざまな問い合わせに対するサポートを行います。
問い合わせ対応以外にも、PCのセットアップや自社内のITシステムの管理、デバイスの管理など、業務は多岐にわたります。
社外ヘルプデスク
社外ヘルプデスクは社外のユーザーからの問い合わせに対応する仕事です。
お客さまからの問合せ窓口対応や、問い合わせ内容のデータベース化などが日常業務になります。
ヘルプデスクで対応できない課題が発生した場合には、社内の関連部署と連携しながら調査を進め、問い合わせに回答します。
情報システム部にとっては社内で対応しきれない問合せ対応をアウトソースする際に、外部のヘルプデスクを利用するケースが想定されます。
人手不足が解消できるだけでなく、外部のノウハウも活用できるため品質向上も期待できます。
ヘルプデスクと他職種との違い
ヘルプデスクは、業務内容が似ていることから、社内SEやコールセンターと混同されることがあります。
その仕事内容の違いを解説します。
社内SEとの違い
社内SEはヘルプデスクに近い仕事を行うことが多く、ヘルプデスクと社内SEを部門ごとにはっきりと区別していない企業では、境界線はあいまいなのが実状です。
明確に違う点として、社内SEはITに関する機器管理から業務に利用するシステム開発の企画、プロジェクト推進まで幅広く対応するため、ヘルプデスクより広範なスキルが要求されます。
一般的に、社内SEはIT機器やシステムの導入、管理、運用保守などを基礎レベルで支援するのに対し、ヘルプデスクはITシステムを活用する上での問い合わせ対応が主担当業務領域という点で異なります。
コールセンターとの違い
コールセンターは、問合せ対応を行うことが多いため、その点でヘルプデスクと似通っていると言えます。
一般的に言われる明確な違いは、ヘルプデスクはITに関する問題やトラブルの解決が主な業務であり、Q&A対応がメインであるコールセンターに比べてより専門的な知識を求められるケースが多いという点です。
また、コールセンターでは、アウトバウンドコール(コールセンター側から外部に対して架電する)をやっているところもあり、その点ではヘルプデスクとは似て非なる箇所だと言えるでしょう。
ヘルプデスクに求められるスキル
ヘルプデスクでは、ITシステムに関する知識を始めとするさまざまなスキルが求められます。
ヘルプデスクの仕事を行う上で必要なスキルは、主に下記の4点です。
- コミュニケーションスキル
- 製品やサービスの知識
- トラブル対応力
- 語学力
コミュニケーションスキル
ヘルプデスクにはコミュニケーションスキルが欠かせません。
電話やメールなどで問い合わせを受けた際、相手が何に困っているのかを適確にヒアリングし、こちらからの用件をわかりやすく相手に伝えることが必要です。
製品やサービスの知識
ヘルプデスクの仕事では、社内システムやPC等の情報機器についてユーザーから問い合わせがきます。
問い合わせ対応では、正確な回答を求められるため、社内で利用している製品やシステムに関する詳細な知識を事前に頭に入れておかなければなりません。
よく来る問い合わせについては、マニュアル化していることも一般的ですが、イレギュラーな対応が発生することもあるため、自身での解決が難しい場合は、エスカレーション先の部署に依頼したり、自身で一から調べる必要があります。
トラブル対応力
ユーザーからのクレームやトラブルへの臨機応変な対応力も必要です。
トラブルの中には、ヘルプデスクチームが想定していないようなものが発生することもあります。
想定外のトラブルが発生したとき、ユーザーの状況を的確に把握し、未知のトラブルでも対応できる能力がなければ、トラブルを解決できないだけでなく、ヘルプデスクとしての信頼も失われてしまいます。
語学力
企業によっては、ユーザーが外国人であることもあります。
そういった場合には、英語を中心とした語学力が必要です。
また、技術書やIT機器の説明書なども英語で書かれているものが多いため、直近の業務で語学力を必要としない場合であっても、備えておくことは重要になるでしょう。
ヘルプデスクメンバーにおすすめの資格
続いて、ヘルプデスク業務に役立つ資格を解説します。
これから企業のヘルプデスク業務に関わる人は、ぜひ参考にしてみてください。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、独立行政法人情報処理推進機構によって運営されている、情報処理技術者向けの国家資格試験です。
ITエンジニアの登竜門とも呼ばれており、試験範囲を学習することで、ITを戦略的に活用できる能力が身につきます。
この試験に合格すれば高度IT人材となり、ITに関連する基本的な知識・技術を身につけていることが証明できます。
ITIL試験
ITIL試験は、ITIL(ITに関するマネジメントのベストプラクティスをフレームワーク化したもの)に沿ったシステム運用のスキルを認定する資格試験です。
こちらの資格を持っていれば、システム運用の体系的な知識があるとみなされます。
ITILは、多くの企業が採用している仕組みでもあります。
現場の作業効率を改善したり、状況に適したシステム運用を提案したりできるため、ヘルプデスクや周辺業務を行う方にとって、取得しておいて損はありません。
マイクロソフト オフィス スペシャリスト
マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)は、オデッセイコミュニケーションが運営している資格です。
一般的に、事務処理用ソフトウェアとして普及しているMicrosoft社のOfficeシリーズに関するスキルを証明する資格となっています。
WordやExcel、Powerpointなどのソフトウェアに加えて、Access、Outlookなどのビジネスで必要となるアプリケーションについての知識や技能が問われます。
この資格を有していると、文書作成やデータベース管理などヘルプデスク業務に必要な基本スキルを身につけていることが証明できます。
インターネット技術者認定資格
インターネット技術者認定資格(CIW)は、アメリカのCertification Partners社によって運営される、インターネットに関する技術者向けの資格試験です。
インターネットとWebに関する標準的な知識とスキルを、職種ごとの区分で認定する国際資格で、ヘルプデスクをはじめとする、情報サービスを提供する職種やIT業界で活用できます。
とくに社内ヘルプデスクの場合、インターネットに関する問い合わせが頻出するため、インターネットの基礎知識やセキュリティに関する資格は役立つ機会が多いでしょう。
まとめ
ヘルプデスクは、単にお客さまの窓口対応を行うだけでなく、ITに関する幅広い知識が必要になる仕事です。
ヘルプデスクがうまく機能していることが、従業員満足度に影響したり、企業全体の業務効率向上につながるためヘルプデスクという職種は企業において重要な役割を担っていると言えるでしょう。
それだけに、IT知識だけではなく、コミュニケーションスキルやトラブル対応力、語学力などさまざまなスキルが必要になり、一朝一夕で効果的なヘルプデスクチームを作り上げていくことは難しいでしょう。
今後、ヘルプデスクをうまく活用したいという企業は、まずはヘルプデスクメンバーのスキルを向上させなければなりません。
また、問合せ件数が多く、既存のメンバーだけでは対応しきれない場合については外部のヘルプデスクを利用することも有効です。
もし、ヘルプデスクチームの導入を検討されているものの、何から手を付けて良いか分からないという方は、お気軽にアイエスエフネットまでご相談ください。
※この記事は、公開時点の情報をもとに作成しています。