プライベートクラウドとパブリッククラウドの違いって?今さら聞けない...それぞれのメリット デメリット
情報システム部でお仕事をされている皆さまは「クラウド」というワードを日常的に目にされ、耳にされているかと思います。
『でも実は...クラウドの違いってよくわからないんだよなぁ』
『なんとなくわわかっているんだけど、IT担当者として他の誰かに説明するとなると...』
というお悩みを抱えていらっしゃる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで今回は、そんなあなたのためにクラウドについての基本知識、クラウドの中でも主に2つに分けられるパブリッククラウドとプライベートクラウドについて分かりやすく解説をしていきます。
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そもそもクラウドってどのような技術なの?
クラウドとはその名前の由来からも想像がつくように、雲のように地上から浮かんでいる、つまり、サーバやネットワーク機器などの物理的なマシンを必要としない、仮想空間でサービスを提供する技術を指します。
もちろん厳密にはAmazonやMicrosoft、Googleといったサービス提供元のデータセンターには、サービスを提供する上で必要な、膨大な物理マシンがありますが、利用ユーザー側では、物理マシンの存在をまったく気にせずにサービスを受けることが可能です。
そのため、従来のオンプレミス環境では必要だった物理マシンの購入費用や購入に至るまでの時間などが必要なくなるため、あらゆるサービスに利用が進んでいます。
クラウドを使ったサービス
クラウドサービス自体は、2006年にAmazon社がAmazon Web Service(通称AWS)の提供を開始していたり、Google社の当時のCEO エリック・シュミット氏が「クラウド コンピューティング」に言及していたりと2000年代中盤から徐々に広がりを見せてきておりました。
しかしながら、日本において大衆に「クラウドサービス」という言葉が認知されたのは、2010年代の半ばから後半にかけてではないでしょうか?
たとえばクラウド技術を使ったサービスとして、PayPayがQRコード決済サービスを2018年に開始していたり、JALが独自のCRM基盤システムを開発しています。
またコロナ禍に適応したシステムの開発、運用も札幌や大阪など行政期間での導入を開始した例もあります。
今インターネットを介して提供されるサービスはほとんど、クラウドを利用していると言っても過言ではないでしょう。
それほど、今ではクラウドが身近なものになっています。
パブリッククラウドとは?
冒頭でパブリッククラウドとプライベートクラウドがあると言いましたが、ここでパブリッククラウドについて少し説明致します。
パブリッククラウドを利用する場合は基本的にすべてのリソースを共有して利用するため、自社で発生するハードウェアなどの設備費用は一切ありません。
そのため、すべてがオンライン上で管理されており多くのメリットがあります。
有名なパブリッククラウドを提供している5大サービスはAmazonの「Amazon Web Service」、Microsoftの「Azure」、Googleの「GoogleCloudPlatform(通称GCP)」、IBMの「IBM Cloud」、Alibabaの「Alibaba Cloud」などがあげられます。
いずれもすべてオンライン上で開発や構築、運用を可能にするサービスとなり、ベースとなる仕組みは似ていますが、それぞれの特徴を比べてみましょう。
パブリッククラウドサービス |
特徴 |
Amazon Web Service(AWS) |
クラウドの先駆者として世界シェアNo.1となっており、取り扱っているサービスも幅広い。 |
Microsoft Azure |
各Microsoft製品との親和性の高さで連携がしやすく、リージョン数(※)が最も多いため通信遅延が起こりにくい。 |
Google Cloud Platform(GCP) |
Googleならではのビックデータの活用や、トラフィック分析などが可能。インフラと同性能のクラウドを使用できる。 |
IBM Cloud |
人工知能『Watson』との連携や機械学習に関するAPIなど高い技術力を取り扱う。 |
Alibaba Cloud |
SoftBankとの共同事業で月額定額制のサブスクリプションによる便利な料金体系と、セキュリティに厳しい中国でのビジネスを支える信頼性がある。ICP登録(※)サポートの取得ができる。 |
このほかにも日本国内にのみデータセンターを置くさくらクラウドや、ソフトバンクが提供するホワイトクラウド ASPIRE、GMO社のAltus Basicなど数多くの日本企業が提供しているサービスもあります。
それぞれの企業でのサポート体制は無料のものと有料のものがあり、どのサービスも非常に手厚いサポート体制、セキュリティ体制を持っています。
(※)リージョン数:クラウド事業者が所有するサーバーが設置されている世界中のデータセンター数。
(※)ICP登録:中国国内のサーバから発信するすべてのWebサイトに義務付けられている登録制度。
パブリッククラウドのメリット デメリット
これらの利便性を考えると従来のオンプレ環境からパブリッククラウドへと移行するべきと考えると思います。
しかし、この利便性の中にも実はデメリットが潜んでいるため、それらを十分理解した上での判断が必要になります。
▽パブリッククラウドのメリット
・導入コストが低い
・必要な分だけ利用できる
・システム管理の手間を省ける
・導入コストが低い
従来のネットワーク構築やソフトウェア開発に比べて、パブリッククラウドは一切物理的リソースを必要としないため、コストが削減でき、Webから資格や証明は特に必要なく申し込むことが可能です。
多くのサービスは無償で提供している製品も多く、初期費用が掛からず拡張性に長けていることからスタートアップ企業や個人利用にも適しています。
・必要な分だけ利用できる
パブリッククラウドは従量課金制を取っているため、使った分の対価を支払う仕組みです。そのため、開発したアプリケーションなどの利用量と比例して支払う料金も変動するようになり、ニーズに合わせて利用量の変更(コストの節約)が出来ます。
・システム管理の手間を省ける
構築したシステムを利用する際に必ず必要となってくるのが運用や保守です。
そもそもサービス提供側でシステムのモニタリングやデータ分析を行っているため、自社で担う人件費を削減することができ、より効率的なシステム運用を可能にします。
▽パブリッククラウドのデメリット
・自社に合わせたカスタマイズが難しい
・システム障害時に対処ができない
・自社に合わせたカスタマイズが難しい
パブリッククラウドはリージョン(データセンター拠点)や基本設定、データのストレージ方法などサービス提供側の範囲内でしか構築ができないため、カスタマイズが非常に難しく独自性に劣ります。
・システム障害時に対処ができない
独立したシステム環境を持っていないため、万が一障害などのインシデントが発生してしまった際に自社システムとの切り分けが明確でないため、他社の障害が影響してしまう可能性があります。
これらを考えるとパブリッククラウドは、システム開発を小規模から始めたい企業やIT分野に予算をあまり費やせない様な企業により適しているといえるでしょう。
プライベートクラウドとは?
次にプライベートクラウドについて紹介します。
プライベートクラウドとは自社専用に用意されたリソースを利用したクラウド環境で、外部に公開ができない顧客情報などの社内情報や、業務アプリケーションの提供などが一般的な用途となります。
プライベートクラウドでは、原則としてベースとなる物理的リソースを他者と共有しません。
そのためセキュリティがパブリッククラウドに比べると高く保て、また自社独自のカスタマイズ性に長けているのが特徴です。
物理的リソースを社内に置くか、外部に置くかも選択可能です。
オンプレミス型 |
ホステッド型 |
|
使用する環境 |
自社に設置・構築されたクラウド環境 |
クラウドサービス提供側で仮想的に切り分けられたクラウド環境 |
導入期間 |
自社で構築するため、どうしても時間が掛かってしまう。 |
物理環境を確保する時間を削減できるため短期間での利用開始ができる。 |
コスト |
設備投資にコストが掛かってしまう。 |
初期費用がないため、月額から利用開始ができる。 |
リソース |
インフラの運用・保守を自社が担うため、コスト負担が発生してしまう。 |
インフラの運用・保守を提供側で担うため、人件費などのコストを払わないで済む。 |
(出展元:https://www.idcf.jp/cloud/column/public_private.html)
図に表されるように、オンプレミスを使ったプライベートクラウドに比べ、ホステッド型は自社での負担が少なく利用することが出来ます。
その一方でオンプレミス型は自社独自のカスタマイズされたクラウド環境を構築することが出来ます。
プライベートクラウドのメリット デメリット
ではパブリッククラウド同様、プライベートクラウドについてはどのようなメリットデメリットがあるのか比較してみましょう。
▽プライベートクラウドのメリット
・高度なセキュリティコントロールができる
・企業の特徴に合わせたクラウド環境を構成できる
・高度なセキュリティコントロールができる
ITチームの技術力が高くセキュリティ対策に自信がある企業の場合、他社とリソースを共有することに少々違和感を感じる場合があるかと思います。
しかし、コストを最小限に抑えたい場合はオンプレミス型のプライベートクラウドを利用すれば各企業のセキュリティポリシーを設定でき、またプロバイダーのインフラで障害が発生した場合でも、その被害を最小限に抑えることができます。
・企業の特徴に合わせたクラウド環境を構成できる
クラウド環境は非常に拡張性に長けているため、ポリシーの設定や、自社独自のカスタマイズを可能にします。
そのため自社向けに運用のしやすい環境の構築が可能です。
▽パブリッククラウドのデメリット
・コストや時間の負担が大きい
・専門知識が必要になる
・コストや時間の負担が大きい
初期費用や運用コストがどうしてもパブリッククラウドに比べると高くなってしまい、オンプレミス型の場合は費やす時間も増えてしまいます。
・専門知識が必要になる
また、柔軟性が上がれば上がるほど利用するクラウド製品によっては専門知識が必要になっていきます。
設定や仕様が各社で微妙に異なってくるため、使い方を熟知する技術者が必要になり、その分の人的コストも発生すると考えて良いでしょう。
まとめ
ここまでクラウドについて紹介をしましたが、パブリッククラウドとプライベートクラウドどちらもそれぞれのメリット・デメリットがあるため単純な比較はできません。
パブリッククラウドは安く手軽に利用ができる一方で、オープンなリソースを使用するためセキュリティ面やサービスの安定性の観点で、プライベートクラウドよりも劣っていると言えます。
また、プライベートクラウドは高いセキュリティを担保することができる一方で、それなりの専門知識や技術力、コストを必要とします。
それらを天秤にかけると、パブリッククラウドはサービスのローンチにスピード感を担保したいスタートアップ企業など向け、プライベートクラウドは、セキュリティ要件が厳しいサービスを提供しており、かつ成熟したIT人材がいる企業向けといえます。
用途に合わせてパブリッククラウドとプライベートクラウドを使い分けて活用する企業も増えてきております。
クラウドという環境を既存のシステムの中にどのように最適に組み込むかが、今後のDX化へ向けた企業の挑戦となるのではないでしょうか。
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