データ移行サービスのコスト|有料サービスより無料サービスの方が実は高い...?
世間でのDXという言葉の流行や新型コロナウイルスの影響により、
クラウドサービスを活用されている企業が増えておりますが、
それに伴いクラウドサービスの乗り換えを検討をされる企業も増えているのではないでしょうか?
クラウド上でのデータ移行は、情報システム部門の皆さまにとっても
重要なトピックになっていることでしょう。
データ移行を行う上で欠かせないのがデータ移行ツールですが、
世間では様々なデータ移行サービスが開発され、世界的に増加しています。
中には、有料のものもあれば、無料のものもあります。
「タダより高い物は無いって言うし...どうなんだろう?」と懸念されている方もいれば、
「弊社は予算の兼ね合いで無料サービスを検討しています」と考えていらっしゃる方もいるでしょう。
もちろん、無料のクラウド移行サービス機能ですべてをまかなえる企業であれば、問題ありません。
しかしながら、無料サービスは機能的な制限があることが多く、
オプションを活用して制限を解除すると、
有料のサービスよりも多くのコストがかかる可能性があるのです。
とくに“企業規模が一定以上”の会社では
最初から有料プランを利用した方がおトクになる可能性が高いです。
今回の記事では、データ移行サービスのコストに重点を置き、詳しく解説します。
目次[非表示]
クラウド市場の急成長
近年、クラウドサービスの導入が一般的となりました。
とくにAWS(Amazon)、Azure(Microsoft)、GCP(Google)といった上位3社のクラウドサービスプロバイダーが主導し、パブリッククラウドの市場は急速に成長し続けています。
皆さまの会社でもいずれかのサービスを利用、もしくは利用検討されているのではないでしょうか。
クラウドインフラの市場規模(予測含む) 出典:Synergy Research Group
また、新型コロナウイルスにより、59%の企業がクラウド使用量が増えると予想されています。
クラウドサービスは、スピードと柔軟性に優れているため、コロナ禍においてテレワーク環境が増えた現代に適合していることが、利用量増加の主な要因でしょう。
データ移行サービスの注目度が高まっている背景
クラウドサービスは乗り換えの手軽さも魅力の一つです。
そのため、クラウドサービス導入率の向上に比例してデータ移行サービスの利用率も増加します。
クラウドサービスを乗り換える際、たとえばGoogle WorkspaceからMicrosoft 365へ乗り換える時、データ移行サービスを活用した方がより便利にわかりやすくクラウドサービス間の乗り換えができるようになるためです。
こういった背景のもと、データ移行サービスが無料、有料問わずに次々に誕生しており、サービスへの注目度も上がってきております。
無料サービスと有料サービスの違い
では、無料のサービスと有料サービスではそれぞれどのような違いがあるのでしょうか?
■データ移行における無料サービスと有料サービスの比較
ビジネス上でかかるコストはできるだけ低く抑えたいと考えるのが普通ですが、コストを下げたいがために何も考えずに無料のサービスを利用してしまうと、思わぬ落とし穴に落ちてしまうことがあります。
たとえば、スマートフォンのゲームや、ビジネスで利用できるアプリケーション(SlackやGメールなど)についても、無料の範囲で遊べたり、利用できるものが一般的です。
しかしながら、より深く遊ぼうとする、利用しようとするためには、オプションでの課金が必要になってくることはイメージがつきやすいと思います。
まずは無料の範囲で利用してもらい、気に入ったらどんどん課金させていくというモデルは、インターネットを介した現代のビジネスでは一種の定石となっているため、この考え方を踏まえた上でサービスを検討していく必要があるのです。
無料のデータ移行サービス
無料のデータ移行サービスには、いくつか制限があることが一般的です。
当然、その制限内でやりたいことが完了するのであれば、無料サービスを利用する方が望ましいでしょう。
しかし、かえって有料サービスを利用するよりも多くのコストがかかる可能性もあるため注意が必要です。
■無料サービスを利用する際に確認するべき4ポイント
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1. サービスの提供範囲
2. オプション機能のコスト
3. 移行先の選択肢
4. サポート機能
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1. サービスの提供範囲
たとえば、Microsoft FastTrackも無償ツールの1つです。
公式のHP上に「利用資格のある Microsoft 365、Azure、または Dynamics 365 サブスクリプションをお持ちのお客様は、サブスクリプション期間中 FastTrack を追加料金なしで利用できます。」と説明があります。
<参考:Microsoft FastTrack で不安なくクラウドに移行>
しかし、Microsoft FastTrackでは、ユーザー、グループ、ファイルのアクセス権を移行することはできません。
そのため、サービスの提供範囲をしっかりと把握しておく必要があります。
2. オプション機能のコスト
無料サービスのほとんどは有料プランへのアップグレード、もしくは有料オプションが用意されています。
有料プランへアップグレードしない場合、無料アカウントが終了する前に、データエクスポートツールを利用して一部のデータをエクスポートすることができますが、このエクスポートツールで書き出せるデータが限られております。
制限を解除するためにはオプション機能の利用が必要ですが、もちろん有料です。
そのため、無料サービスを利用する前にそれぞれのオプションがいくらかかるのかを事前に調べておく必要があります。
3. 移行先の選択肢
無料サービスによっては移行元・移行先の選択肢が少なく、対象データを移行できない場合もあります。
無料サービスを利用し、プロジェクトを開始したものの、対象データを移行できませんでした、となった場合、機会損失を生んでしまうため、必ずツールの利用前に移行先の選択肢を確認しておく必要があります。
4. サポート機能
サポート機能がどの程度なのかについても最初に確認しておくべきでしょう。
当然のことながら、無料サービスは有料サービスに比べ、サービス提供元からのサポートが弱いため、移行に関する幅広い対応をご自身でやらなければならず、結果的に移行プロジェクトが長期化してしまう可能性があります。
つまり、無料サービスは相対的に人的コストがかさんでしまう可能性が高いということです。
クラウドサービスを移行する時に頻出する課題について詳しくはこちら
有料のデータ移行サービス
有料データ移行サービスは各企業の安全なデータ移行を保証することを目的として、日々専門家によって開発されています。
高性能な移行システムと幅広い移行元・移行先の選択など顧客のニーズに合わせ移行サービスをカスタマイズできるようになっています。
有料移行サービスの特徴として、以下の3点があげられます。
・データ量の制限がない
・ユーザー数の制限がない
・追加課金がない
また、有料のデータ移行サービスは、サポートが充実していることが多く、移行時の管理もしやすいため、大規模で複雑なデータ移行に向いています。
さらに有料サービスはオプションなどのコストがかからないことが一般的なため、あらかじめ予算に含めておけば、プロジェクトの予算超過を防ぐことも可能です。
こういった面から、100名以上など一定以上規模の企業であれば、最初から有料サービスを利用するほうが無難であると言えるでしょう。
まとめ
今回、コストの観点からクラウド移行サービスついてご紹介しました。
ご紹介してきた通り、オンプレミスからクラウド、クラウド間の移行を検討する企業が増えてきております。
クラウドサービスでのデータ移行において、貴社の状況に最適なツールを選択することは、移行プロジェクトの成功における重要な鍵となります。
あまりコストをかけたくないがゆえに無料サービスを利用し、かえってコストがかさんでしまったり、逆に無料サービスの範囲内でできるのにも関わらず有料サービスを利用してしまうことが無いように、慎重な検討が必要です。
しかしながら
・役割ごとに明確に部門が分かれている(人事・経理・営業など)
・従業員数が100名以上
上記のような企業は、最初から有料のデータ移行サービスを利用した方が望ましいと言えます。
判断に迷う場合は、サービスを取り扱っている企業へ気軽に相談してみましょう。
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※この記事は、公開時点の情報をもとに作成しています。