IT導入補助金は中小企業のモダンマネジメント環境構築の“肝”だった!?
「最新のITツールを駆使して生産性を上げたいけどそんなにIT予算ついてないんだよなぁ・・・」
「モダンマネジメント導入には新しいソフトウェアが必要なんでしょ??あー、むりむり、うち予算無いから・・・」
こんな思いを抱いている情報システム部門の方は、多いのではないでしょうか?
そのような悩みを解決に導くのが、IT導入補助金です。
なんとIT投資にかかる費用の半分、もしくは最大450万円を補助・支援される可能性があるのです。実際にこの補助金を活用してRPAツールを導入し、月25時間の残業削減を達成している企業もあります。
モダンマネジメントを始めとした最新IT環境の導入は、大きい予算が必要な印象がありますが、ツール購入費用の一部を補助してもらえるなんて夢のようではないでしょうか。
もちろん、補助金活用には制約やルールがあります。
今回は、この補助金を活用するメソッドをご紹介します。
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モダンマネジメントとは?
まずはじめに、タイトルや冒頭からでてきている“モダンマネジメント”とはMIcrosoftが提唱しているPCをはじめとしたクライアント端末の新しい管理手法のことです。
Windows10 OSの新機能とMicrosoft Intuneなどのデバイス管理ツールを組み合わせることでリモート環境にあるPCを遠隔運用することができたり、キッティングにかかる工数を大幅に削減するなどの効果があります。
詳細は情報システム担当者必見 デバイス管理の新手法「モダンマネジメント」について(前編)をご確認ください。
IT導入補助金とは?
そのモダンマネジメントの導入時にも、ソフトウェアのライセンス費用をはじめ
様々なコストが発生(情報システム担当者必見 デバイス管理の新手法モダンマネジメントについて(後編)を参照 )します。
そういった新しいIT環境を導入する際に企業の味方となるのが「IT導入補助金」です。
IT導入補助金とは、経済産業省と独立行政法人中小基盤整備機構が監督している、
中小企業・小規模事業者(自営業者)がITツールを活用することにより、事業の生産性を高める目的で決められた要件を満たした事業者向けに交付している補助金のことです。
つまり、ITツールを活用して、
「業務改善をしたい」
「事業を活性化させたい」
「生産性を向上させたい」
という思いはあるものの、「割り当てられた予算ではなかなか導入できないよ」とあきらめてしまっている情報システム部門を救済してくれるプログラムになります。
また、ここで言う『ITツール』とは、ソフトウェアだけではなく、オプション(セキュリティなどの付加商材)、導入自体に関わる役務(コンサルティングから保守など)まで幅広く定義されております。
冒頭でもふれましたが、これらのITツールの導入費用の半額、最大450万円(※条件をクリアした場合)まで補助金給付の対象となります。
以下の図で、補助金活用条件をまとめてみました。
図1 IT導入補助金 活用条件
※IT導入補助金2021サイト(https://www.it-hojo.jp/procedure/)の条件をもとに作成
※C類型はより細かい条件があるため、上記のURLから詳細をご参照ください。
だれが活用できるのか?
IT導入補助金は、活用できる事業者体が明確に定められています。
業種や組織形態により資本金の限度額や最大従業員数が決まっているのです。
詳細は図2、図3をご参照ください。
また、以下のような要件もあります。
≪6つの活用要件≫
1 日本国内で登記された法人または個人であること
2 申請の直近月の事業所内の最低賃金が法令上の最低賃金を上回っていること
3 gBizID プライムを取得していること
4 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の
「★ 一つ星」 または「★★ 二つ星」いずれかの宣言を行うこと
5 労働生産性の伸び率の向上について、1年後の伸び率が3%以上
3年後の伸び率が9%以上及びこれらと同等以上の、数値目標を作成すること
6 生産性向上に係る情報を事務局に報告すること
このように2020年度からは、目標数値の設定義務や、報告義務が生じること以外にも、電子申請に変更となった兼ね合いで「gBizID(ジー・ビズ・アイディー 複数の行政サービスにアクセスできる認証システム)」の取得が必要となっています。
※申請から取得まで2~3週間必要となります(無料)
※経済産業省 GビズID【gBizプライム】の取得が必要です!
(https://www.meti.go.jp/press/2019/12/20191224003/20191224003-1.pdf)参照
図2 IT導入補助金を申請できる中小企業の業種・組織形態一覧
業種・組織形態 |
資本金
(資本の 額または出資の総額)
|
従業員 (常勤) |
|
資本金・従業
員規模の一方
が右記以外の
場合対象(個人事業を含む)
|
製造業、建設業、運輸業 |
3億円 |
300人 |
卸売業 |
1億円 |
100人 |
|
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業旅館業を除く) |
5,000万円 |
100人 |
|
小売業 |
5,000万円 |
50人 |
|
ゴム製品製造業 (自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く) |
3億円 |
900人 |
|
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 |
3億円 |
300人 |
|
旅館業 |
5,000万円 |
200人 |
|
その他の業種(上記以外) |
3億円 |
300人 |
|
その他の法人 |
医療法人、社会福祉法人、学校法人 |
- |
300人 |
商工会・都道府県商工会連合会及び商工会議所 |
- |
100人 |
|
中小企業支援法第2条第1項第4号に規定される中小企業団体 |
- |
50~300人 |
|
特別の法律によって設立された組合又はその連合会 |
- |
50~300人 |
|
財団法人(一般・公益)、社団法人(一般・公益) |
- |
50~300人 |
|
特定非営利活動法人 |
- |
50~300人 |
図3 IT導入補助金を申請できる小規模事業者(自営業者)の業種分類一覧
業種分類 |
従業員
(常勤)
|
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) |
5人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 |
20人以下 |
製造業その他 |
20人以下 |
※図2、図3ともにIT導入補助金2021サイト(https://www.it-hojo.jp/procedure/)参照
どうやって利用するのか?
利用にあたっては以下の6STEPの手順が発生します。
≪利用までの6STEP≫
STEP1:ITツールの選択
STEP2:交付申請
STEP3:ITツールの納入
STEP4:事業実績報告
~補助金額の確定~
STEP5:補助金交付手続き
~補助金交付~
STEP6:事業実施効果報告
まずはITベンダーが登録しているITツールの中から、ベンダーと相談の上、自社に最適なツールの選定を行い補助金の交付申請を行います。
補助金の交付が決定された後に、ベンダーとの契約を行います。
※交付決定前に契約してしまうと補助金が受け取れないこともあるのでご注意ください。
ITツールの導入後、ITベンダーと協力して事業実績報告を行います。
それにより補助金額が確定します。
補助金額が確定したらその交付の手続きを実施し、補助金を受け取ることができます。
※事務局から直接、補助金を申請した中小企業(または自営業者)に交付されます。
最後に事業実施の効果を報告し、手続き含めたすべての事務作業が完了となります。
モダンマネジメント導入時の費用シミュレーション
実際に、モダンマネジメントの環境を導入するにあたり
IT導入補助金を利用するとどれくらいお得になるかを図4でまとめました。
製造業で資本金1億円、従業員数300名という設定でシミュレーションしています。
あくまで概算レベルでの費用感となりますが、ご参考にしていただければと思います。
図4 モダンマネジメント導入時におけるIT導入補助金活用シミュレーション
※IT導入補助金B類型の諸条件に達している前提での金額となります。
※モダンマネジメント導入構築費用は概算費用での算出をしています。
※Intuneは、最安ライセンス形態の利用時の金額を想定しています。
まとめ
・IT導入補助金とは、中小企業(または自営業者)がITツールを活用して
事業の生産性向上を成し遂げたいときに補助金を利用できる救済プログラム
・企業規模など活用条件が定められているものの最大で450万円の補助を受けることが可能
・6STEPの手順で補助金を活用可能
モダンマネジメントをはじめ、どのIT環境の導入においても、ライセンス費用や導入支援パートナーの活用による環境構築支援費用など多くのコストが発生することは避けられない事実です。
一方で、IT環境により業務効率化や、事業の促進の恩恵を得られることもまた事実です。
そのため、今回ご紹介したIT導入補助金を活用することは、コストを抑えつつ最適なIT環境を構築する“肝”となるのではないでしょうか。
※この記事は、公開時点の情報をもとに作成しています。